原油は統制された政策相場となっている

 9月中旬にサウジアラビアでドローンによる攻撃で石油施設が大きなダメージを受けたことによって瞬間的に原油相場は吹き上がったものの、その後は陰線先行となり日が経つにつれ上値を削る展開となっている。10月2日にNY原油の中心限月は一時52.17ドルまで下げ、攻撃があった直前の安値をも割り込み約2カ月ぶりの安値圏まで後退した。

 そもそも、サウジが攻撃を受けた直後のNY原油は大きなテクニカル上のギャップを開けて相場が上昇していたことで、55~60ドルの罫線上に開いた窓を埋める動きが予想されたが、そのシナリオどおりの値動きとなっている。

 なぜ、原油相場はサウジの大幅な供給減を材料に上昇する動きを維持できなかったのか。その理由は、攻撃を受けたサウジ政府が早急に施設の復旧を目指すことを公言したこと、またサウジが保有している原油在庫を放出すことで減産分を担保したことにある。

 加えて見逃すことができない重要な要素は、近年の原油価格は、サウジアラビアを中心とした中東産油国の思惑と、米国を中心とした大手消費国の双方にとってウィンウィンの価格水準となる政治的な思惑が強く作用している点。あまりに安い原油価格は産油国の財政を圧迫するとともに安定的な供給を阻害する一方、あまりに高い原油価格は消費国にとって景気を減速させる大きな要因となり、世界経済に悪い影響を与える。このため、原油価格は、行き過ぎた価格形成が好まれない傾向が強くなっている。

 特に米国は来年大統領選を控えているため、現政権にとってガソリン高は致命傷となる。実際、過去にトランプ米大統領は、イラン産原油の禁輸措置を行ったことで自らが招いた原油高を抑制するため、サウジやアラブ首長国連邦(UAE)に増産を促した経緯がある。
 

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