金銀白金パラジウムの価格動向

 昨日のTOCOM SQUARE TV(https://www.youtube.com/watch?v=0_7Hqm4D_Ak)で話したことであるが、8月1日以降の米中貿易摩擦により、世界景気の悪化が懸念され株価が下落し、金が安全資産として買われて価格が上昇した。銀も同様にセイフヘイブンの買いにより上がってきたが、プラチナやパラジウムの価格はもっぱら工業用途に使われるとして、金価格とは逆に下落基調だった。

 しかし、ここにきてプラチナが急騰し、遅れて8月30日にパラジウムも高騰している。その背景には何があるのであろうか?

 結論から言うと、プラチナは金や銀価格の高騰を後目に長く価格が低迷していたことが、投機家の同じ貴金属であるのに安過ぎるという値頃感から買われたもので、パラジウムもそれに追随したものだ。これを、PGM(プラチナグループメタル)の需給から解説すると相場を見誤る可能性がある。

 まず、自動車触媒としてプラチナが主に使われるディーゼル車の売れ行きは落ちたままである。フォルクスワーゲン(VW)が偽りの排気ガス値を提出し、かつ排気ガスが少ないように見せかける装置を装着したことが摘発された。これにより欧州で5割以上を占めていたディーゼル車の売れ行きは落ちたままである。

 ディーゼル車とは、ガソリン車のように点火プラグを使って発火させる仕組みではなく、軽油を圧縮することで自然発火させるものであり、点火プラグの発火点をめぐる空燃比(空気とガソリンの比率)等の細かい設定を省くことができ、かつ自然発火なのでより完全燃焼に近くなるとされていた。

 しかしVWが偽造したところを見るとそうはならなかったのかもしれない。いずれにせよ、VW問題でドイツの地方裁判所が、特定の都市に対してディーゼル車の乗り入れを規制したことが、ディーゼル車販売にとどめを刺している。その地域に行かないとしても、その地域の侵入を禁止された車を買う気にはならないだろう。

 また、プラチナが安い状態が続いていたため、高騰したパラジウムがプラチナに代わるという考え方もあるが、事はそれほど単純ではない。まず自動車メーカーの購買担当者の立場からすれば、材料の転換はパラジウムの在庫処分の問題があり、また、いつプラチナが高くなってパラジウム価格が安くなるかもしれないという相場の問題がある。

 一方、触媒装置を担当する技術者からすれば、自動車触媒は2千種類以上あり、車種、車重、空燃比、排気量などさまざまな異なるパラメーターごとに触媒を変えている。またそうした、きめ細かい管理を逐一官庁に排気ガスデータを報告する義務があり、素材を変えることはそれほど容易ではない。

 素材を変えるといっても、配合比率を変えることである。ガソリン車はパラジウムといわれるが、パラジウムの比率が多いと言うことで、PGMやセリウム等の添加物を車種ごとに微妙に配合している。以上からプラチナが一時的にパラジウムより安いといっても簡単に配合比率が変えられるわけではないのではないかと思われる。電気自動車の開発の背景には、こうした煩わしい排気ガス処理の問題から解放されたいという自動車メーカーの願望がある。
 

 

 

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