中東の動乱による原油高は限定的か

 このような一連の情勢から、足元の原油市況は強含みに推移している。NY原油(WTI)の中心限月は、8月7日の直近安値50ドル飛び台を起点として55ドルを上回ってきた。

 しかし、このまま原油相場が上昇の動きを続けるのかどうかは疑問だ。一連の中東情勢に絡んだ地政学的リスクによって相場は買いが入りやすくなっているものの、基本的に原油の需給が引き締まってこない限り、本格的に市況が陽転する公算は薄い。

 基本的に、米中貿易摩擦の影響で世界の景気は下振れのリスクが強くなっており、必然的に世界的に原油の消費量は減少傾向にある。一方、OPECと非加盟国で結成されたOPECプラスでは協調減産が実行されているものの、その減産幅に匹敵するか上回るほど、米国のシェールオイルの生産は増加傾向にある。総括すると世界の原油需給は緩和の状態にある。

 従って、地政学的リスクによって一時的に原油市況が上向きに転じても、そのトレンドは持続することが難しく、需給ファンダメンタルズの緩和に従って市況の回復は一時的だと判断せざるをえない。

 中東情勢はサウジアラビア対イランの構図を中心に地域全体が不安定となっていることは確かであるとともに、原油の供給に対するリスクを内包していることも確かである。しかしそれが著しい原油の生産や供給に支障が出ていない限り、相場の上昇は思惑の範囲内だと考えられる。
 

 

1 2

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事