景気後退が警戒されて引き続き先安感が強い原油市場

 米国と中国との間で激化している貿易摩擦は、ついに4段階目に入った。8月初めに、トランプ米大統領は9月1日より追加関税をほぼすべての中国製品に対象を広げる制裁「第4弾」を発動すると表明。3000億ドル分の製品に10%の関税を上乗せする。7月末に米中の閣僚級協議が不調に終わったことを受けた措置だという。

 ただし、すべての製品に課税強化した場合は米国にも痛手となることは必至であるため、主要製品の発動については12月に先送りした模様である。しかしながら、来年に米大統領選が控えている一方で中国も建国70周年を控えているため、両首脳にとって弱腰姿勢をみせられない政治環境が続き、合意に向けた道のりは厳しい環境であることが一部で指摘されている。

 ゴールドマン・サックスのエコノミストらは、この米中貿易戦争が「リセッションにつながるリスクが高まっている」と指摘。加えて、貿易摩擦による米経済への影響がこれまでの予想よりも大きくなるとし、今年第4四半期の米GDP伸び率見通しを0.2%引き下げて1.8%に下方修正した。国際通貨基金(IMF)も先月後半に改定した世界経済見通しで、2019年の成長率予測を3.2%に引き下げた。米中などの通商摩擦の影響で、世界の貿易量を前回予測に比べ0.9ポイントも下方修正したことが響いた。

 直近の情勢は一段と深刻さを増しているようにみえる。今月初めの債券市場では米国と英国で2年債利回りが10年債を上回る逆イールド現象が発生。最も安全と見なされる市場の一角へと投資資金が避難し、新たな景気後退シグナルが点灯している。14日には米10年物国債の利回りが一時1.57%と約3年ぶりの水準に急低下し、約12年ぶりに米2年債の1.63%を下回って逆転した。これは「逆イールド」と呼ばれる現象で、今後1年程度で景気が後退局面に入る予兆とされる。過去には2000年や2007年に起こり、米景気はその後後退局面に入った。このような状況から14日のNYダウは前日比800ドル安と今年最大の下げ幅を記録した。
 

 

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