原油市況は拮抗した状況から抜け出せるのか

 足元のNY原油相場(WTI)は、下値が50ドル、上値が60ドルの上下10ドル幅だけに限られた狭いレンジ内で推移している。今年に入ってからの約7カ月間においても下値が45ドル、上値が65ドルの値幅で相場が形成され、拮抗した状況下にある。

 これは原油市場においての強気の材料と弱気の材料とがほぼ同じ張力で引きあっているためである。最大の上昇要因は、ペルシャ湾周辺で抱えていた地政学的リスク、あるいは軍事的な脅威が有り続けているため中東地域の原油供給が深く懸念されていることにある。一方、最大の下降要因は中国と米国の貿易戦争に伴う世界的な景気減速に原因を置いたエネルギー消費の減少にある。

 参考までに、エネルギー消費全体の需要の伸びがマイナス成長となっていることに起点し、天然ガスの価格は下落に次ぐ下落を強いられ、7月29日時点で基本熱量単位BTU当り2.12ドルまで下落した。これは昨年11月の高値4.93ドルから57%の大幅下落である。同時に、年初来安値を更新するとともに2016年5月以来3年2カ月ぶりの安値を更新した。このまま下落のトレンドを引き継ぐなら2ドルの心理的節目を割り込むことになる可能性がある。原油の供給に絡んだ地政学的リスクがなければ国際原油相場はこの天然ガス相場の流れを踏襲していただろう。

 背景には景気の鈍化が大きく関係しているが、中国経済は政府主導の景気対策が推進されているため、これが奏功する可能性はあるものの、引き続き先行きは不透明である。参考までに、中国国家統計局が31日発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月から0.3ポイント上昇の49.7と上昇したが、非製造業PMIは前月から0.5ポイント低下の53.7となり、2018年11月以来の低水準となった。
 

 

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