地政学的リスクを需給緩和見通しで相殺された原油市場

 ホルムズ海峡付近のオマーン湾で日本の海運会社が運航するタンカーなどが攻撃された事件が起こって一週間が経った。この間、国際原油相場は目立った値動きはなく比較的穏やかな動きに終始している。現実に起こってしまった軍事的脅威に対する市場の反応の薄さには、大きな混乱がなかったことによる安堵感があると同時に肩透かし感もある。

 タンカー攻撃事件が起こった直後のタイミングで、国際エネルギー機関(IEA)は世界原油需給に対する悲観的な見方を示した。その材料に対しても原油マーケットの反応は薄かった。このような結果、6月に入ってからのNY原油は下値50ドル、上値55ドルの限られた範囲にとどまっている。

 最近起こったさまざまな刺激材料でも機敏に反応できないのは、マーケットが先行きの見極めが利きにくい五里霧中にある中で、トレーダーらは明確なポジション取りが難しい状況に置かれているからだ。このため今後も変動材料が出てきても相場は大きくブレることなく、神経質な展開を引き続き余儀なくされる公算が強い。

 基本的な考え方として、米シェールオイルの増産に拍車がかけられていることや、世界的な景気減速に伴うエネルギー需要の縮小見通しなどから、原油市況に対する先行きの見方は楽観的ではない。

 事実、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは今週初め、貿易戦争の激化で世界的な経済見通しが悪化し原油需要が減退することを理由として、今年下半期と来年の原油価格の見通しを下方修正した。具体的に、北海ブレント相場は今年下半期に63ドルで推移するとし、従来予想の68ドルから想定価格を5ドル引き下げた。またNY原油に対しても従来の58ドルから56ドルに引き下げている。
 

 

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