節目である50ドルを割り込む公算強いNY原油

 NY原油相場がここにきて大きく値を下げているが、さまざまな変動要因や市場を取り巻く環境からすると想定内のことである。安値を出し切った様子はまだなく、下値の余地を残していると考えられ、次の安値の節目である50ドルを割り込む可能性が高い。テクニカル的には、昨年12月の安値である42.36ドル付近まで下落することもあり得よう。

 足元のNY原油は4月の高値66.6ドルから今週明けの3日時点で52ドル台まで下げているが、この理由を説明するのは簡単だ。原油の需要と供給のバランスが崩れているため、「余りものに値なし」の構造が値動きに反映されているというわけだ。

 原油の供給は、サウジアラビアとロシア両国の1000万b/d級の生産大手に近年、米国が加わったことで潤沢な状態である。しかも米国は1200万b/dを超える産油量に達し、産油国の世界一位にまでのし上がってきている。参考までに米エネルギー情報局(EIA)の分析によると2019年の米国の産油量は平均で1245万b/dとし、前年比149万b/d増加するとの見通しを示している。EIAの年次報告では、米国の産油量は2027年まで増加し、数量は1400万b/d以上となる見込みだとしている。このような状況の中で米国は今年、総エネルギー量において輸出と輸入のバランスが均衡し、さらに2020年には純輸出国へと変わり、その状況は2050年まで続く見通しにもなっている。

 その一方で世界の石油消費は減少する見込みである。世界2大エネルギー消費大国である米国と中国の景気減速が見込まれているためだ。説明を必要とするまでもなく、原因は米国が最初に仕掛けた米中貿易摩擦による双方の国の景気減速が背景にある。

 サクソバンクのアナリストは、「原油価格はタイトな供給から景気減速と需要鈍化といったリスクの増大に焦点が変わる中で下落圧力に直面している。米中貿易戦争の激化がすでに減速している経済を一段と圧迫している」と分析している。
 

 

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