原油は地政学的リスクを確実に強材料として受け止めている

 米中の貿易摩擦に伴う経済戦争は、確実に米国と中国双方の経済に痛み分けのような形で悪い打撃を与えるだけでなく、エマージング市場はもとより世界経済に悪影響を及ぼすのは確実である。

 周知のとおり、米国と中国は制裁第三弾として昨年9月に発動した年2000億ドル規模の中国製品および年600億ドル規模の米国製品に対する追加関税率を従来の5~10%から25%に引き上げた。さらに米国はこれまで制裁対象となっていなかった年3000億ドル規模の製品についても第四弾の追加関税を課す姿勢を示している。これを受け、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は先週、米中が貿易戦争の解決を見いだせなければ世界経済見通しに対するリスクとなると警告した。IMFが推計した米中間の貿易全額に25%の関税をかけたケースのGDPへの影響によれば、米国の国内総生産(GDP)を0.3~0.6% 、中国のGDPを0.5~1.5%押し下げるとした。

 この影響がコモディティ市場に影響を与えないわけがなく、産業素材市況の代表格である銅相場はNY市場の中心限月でみると今年4月の299.55セント(ポンド当り)から21日には一時270.55ドルまで下げ、下落率は約1割に達するとともにほぼ4カ月ぶりの安値圏まで落ちている。銀相場(NY中心限月ベース)も今年1月の高値1620¢(トロイオンス当り)から今月21日には一時1435¢まで後退し、この間の下落率は11%に達するなど、その下振れ幅は銅より大きい。

 このような状況であるにもかかわらず、4月からのNY原油(WTI:ウエスト・テキサス・インターミディエート)の値動きは下落したとはいえ幅は小さく、しかも5月中旬からはむしろ強含みに推移している。実際の相場は、下段のグラフが示すとおり、5月上旬に一時60ドル割れ寸前の値位置まで下げて、その安値を起点としてわずかずつではあるものの下値を切り上げて次の節目である65ドル向かいの展開である。
 

 

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