マクロ経済の動きと商品価格⑤

 トランプ大統領は商品相場に恰好の材料を与えてくれる。今回は米中貿易協議の最終段階での中国に対するプレッシャーである。25%の関税引き上げは米中貿易協議に対するブラッフであろうが、その都度市場は驚いて反応する。米国株価は急落し、ドル安になり、金は高くなり、原油価格は安くなった。問題は9日から10日にかけての米中貿易協議が開催されるかどうかであり、開催された場合は交渉が妥結するかどうかが、相場師にとっては一種の賭けとなる。その後のニュースを詳細に見ながら、状況に応じて判断することになる。価格を予測できるチャンスは年に数回しかないが、そうした機会の大半は反動である。行き過ぎた価格の反動はいずれ到来し、山高ければ谷深し、逆も真なりである。

 米中貿易協議のそれぞれの立場を推測し、どのような交渉になりそうかを推定する。米国にとっても中国にとっても、交渉の決裂はあり得ないだろう。来年に大統領再選を控えるトランプ大統領は、選挙前の米国経済の悪化や株価の下落は望ましいことではない。中国も習近平主席の失策を望む勢力は影日向にいるだろうし、最近の中国経済の低迷は、共産党一党独裁の地盤を揺るがそうとしている。中国国民が不満を持つような政策は採れない。一帯一路の政策には資金がかかるが、このところ国家財政はそれほど豊かではない。食用油の原料となる大豆は思ったほど国産化が進んでおらず、米国からの輸入大豆に25%の関税をかけたため、中国国内大豆価格が値上がりし、国民の食生活に不満が出ると、政権運営に危うさをもたらす。中国としては何としても米中貿易協議を妥結させたい立場だと言えよう。しかし、米国に屈した態度は示せない。弱腰だと反習近平勢力がやり玉に挙げる。

 従って、何はともあれ、米中協議が決裂するというシナリオは描き難い。妥結は時間の問題で、条件闘争に過ぎないであろう。ということは、いずれ妥結すればお祭り騒ぎになる。株価は上昇し、ドルは強くなり、結果として金価格は下がり、原油価格は上がるだろう。今の逆の動きになる。その振幅は、上がった幅であり、下がった幅であろう。深追いは禁物で、いずれ逆張りが正解となると読むのが自然ではなかろうか。現在の状況は長続きせず、反動が来るだろうと身構える必要がある。

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