金と税金 ① インドネシアで金需要が好調な理由

2018年のインドネシアの金需要は堅調であった。インドネシアルピアが安くなり、資産価値の減価を避けるため、金の延べ棒やコイン、宝飾品や装飾品も売れた。

 インドネシアルピアは昨年▲6.9%安と過去20年で最も安くなり、世界で最も値下がりした通貨の一つとなった。2018年インドネシアのGDPは+5.17%成長し、2013年以来の高い伸びを示した。前年は+5.07%であった。成長率では東南アジア最大で、2016年以降5%以上を保っている。通貨安のため現地通貨建て金価格はグラム当たり579,570ルピアとなり、前年比+7%高と過去最高になった。金の延べ棒の需要は前年比+3%増の13.1トンとなった。ことに金価格が下落した第3四半期には需要が伸びた。また宝飾品は、年間で40.4トンと前年比+12%増、合計で53.5トンと+10%増を記録した。

 金価格が上昇したのに需要が増えるのは矛盾しているが、それには二つの理由がある。
一つは、消費者は金を通貨安から資産を守る手段と見たためであり、ルピアが必要な時に、あるいはルピアが高くなった時に転売がすぐにできる金か、ドルを買った。都市部では5~100グラムの小さな投資用延べ棒が売れ、地方では現金資産を守る意味から金の宝飾品が売れた。こうした動きは7~10カラット(金含有量19.2%~41.7%)の低品位の金分野でも生じた。

 もう一つの理由は、税金の支払いを逃れている人々に対する政府の取締まり強化である。2017年インドネシアは、世界最大の租税回避国であると認定された。多くの国民は収入を少なく申告し、資産を隠している。2億5千万人の国民のうち税金を支払っているのはわずか3800万人である。これには企業も含まれる。また納税者の3分の1は税金の還付を申請している。企業でも個人でも裏金を保有し、税務当局の査察や詮索の目を逃れるために金を買っている。金は税金逃れの恰好な手段となっている。

 2019年の同国の金需要は、通貨の動き次第であろう。現状ではインドネシア経済は下方圧力を受けており、ルピアは経済の結果に影響されるだろう。ルピア安が一層進行すれば今年の金需要も好調ではなかろうか。


2017年と18年の国別金鉱山生産量

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