世界最古の金製品

 世界最古の金製品は、バルカン半島東端にあるブルガリアの、ヴァルナという土地で出土している。ここで1972年集団墓地が二つ見つかり、大量の金製品が発掘された。カーボン14を使って年代を測定したところ、この金製品は紀元前4000年から同4500年前、つまり今から6000年から6500年前に造られたと推定された。

 金製品の量は、古い方の墓地に約1キログラム、新しい方の墓地に約5キログラム、合計2000点、中には紀元前5000年まで遡ると見られるものもあった。

 面白いことに墓には二種類あり、一つは、「遺体が収められた墓」でその数は247。もう一つがトケノタフィウム(空の墓)と呼ばれる47の「遺体がない墓」であった。「遺体がない墓」の方が金製品の数は圧倒的に多かった。その理由はわかっていない。金製品は多彩で、王などの権力者が持ったと思われる錫(しゃく)、王妃や後宮の美女が使ったと思われる指輪やネックレス、雄牛を象った金製品など、いずれも現代でも通用しそうな高度な技術と美的センスがあった。

 世界最古の文明発祥の地はメソポタミアとされているが、メソポタミアではこの時代の金製品は出土していない。エジプト文明でも、それ程古い時代の金製品はない。ヴァルナはメソポタミアから西北に数千キロ離れている。ブルガリアでは紀元前3000年ころトラキアという種族が活躍していた。しかし、その遺跡より更に1000~1500年古い。この見事な金製品から見ると、きわめて精巧な金製品を作れる職人を多数抱えていたと思われる。またその量からも、かなり広い地域を支配していたものと思われる。

 原料の金はトルコ国境近くのサカル山で採取した砂金か、トランシルバニア山脈や、トラキア地方、ウクライナ等から運ばれたと思われ、これらの金を交易や権力で集めたとも想像される。ヴァルナは世界最古の黄金文明だったかもしれない。(出典:『世界黄金史』市場経済研究所 岡本匡房著 Pan Rolling社刊)

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