OPEC総会以外の米国増産や景気リセッション懸念などを見逃すな

 ただし、ここまでの状況は既定路線であるため材料としての新鮮味はなく、すでに相場に織り込まれた感がある。ゴールドマンサックスの予想ですら平凡でありきたりな内容であり、これ以上特筆できることはない。あるいは世界銀行による今後の原油価格予測などは平易過ぎて論外である。

 これからのリアルな原油相場の予想をするためには、変動要因として欠けたパーツを分析の中に取り込む必要がある。具体的な方途の一つとして、米国の原油増産に対しこれから抑制するためOPECプラスのような枠組みの中に取り込んでいくのかどうかについてが挙げられる。今や世界最大の産油国としてのし上がっている米国のシェールオイル生産の抑制を蚊帳の外に置いたままではグローバルな協調減産が不完全であることは論を待たない。ちなみに10月の米国の原油生産量は1170万バレルの過去最高記録を更新し、来年の原油生産量は1200万バレルを超える見通しである。

 供給の問題だけでなく需要の問題を取り上げなくては片手落ちである。足元の原油バランスをみたとき、供給側より需要側の問題のほうが深刻のようでもある。

 実際、最近の世界の株価の同時安は破壊的であり、それだけ世界の景気の落ち込みが急であることを物語っている。12月4日の米国株式市場は主要3株価指数がそろって急落しダウは800ドル近い下げとなった。前日は米中通商摩擦の休戦を好感した買いが入ったが4日は一転して楽観的な見方が後退、経済成長ペースを巡り懸念が再燃した。米中の通商対立が米経済の成長を下押しするとともに、すでに景気減速の兆候が出ている欧州、アジアに一段の圧力がかかるとの見方が再燃している。

 米国債市場では、米2年債と10年債の長短利回り格差が0.123ポイントと2007年以来11年ぶりの水準まで縮小。2年債および3年債利回りは5年債利回りの水準を上回った。短期金利が長期金利を逆転するとリセッションの前触れとされているため、本格的に景気が減速する赤信号が点りはじめている。このように金融面からのアプローチからしても、先行きの原油需要の大幅減退の危険性が孕んでいる。

 このように世界景気の減速懸念が高まっており、前者の米国の原油増産の問題を考え合わせると、OPECプラスの状況判断だけで楽観視することは危険だ。むしろ構造的な部分から原油相場の下降傾斜は今後も続くと考えざるをえない。
 

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