世界景気と金価格

 株価下落は一時的な調整に終わり、ドルは再び強くなり金価格は頭を押さえられている。

 2007年の米国のサブプライムローン問題以降、欧州債務危機、アラブの春等を迎え、世界の中央銀行はゼロまで金利を下げ、加えて量的金融緩和で景気浮揚を図った。世界各国が紙幣を増発することで、世界の株価は上昇し一見長い好況になったかに見えている。

 問題のひとつは、大きな資金を提供しているにもかかわらず、第三の矢となる自動車産業に代わる基幹産業の成長が見られないこと。そしてもう一つの問題は、景気対策に全ての手段を出し尽くしてしまったことである。米国以外はゼロ金利になり、世界の主要中央銀行は、財務諸表が膨れ上がるほど債券を買い入れて市中に資金を供給し、各国政府は財政赤字がGDPの数%に上る程、財政出動を行ってきた。

 こうした背景で景気は好調を保っているが、FRBが金利の正常化のため利上げを行っていることが、新興諸国に二重の辛苦をもたらしている。一つはドル高による通貨安であり、もう一つは、低金利下で膨れ上がっていたドル建て債務の利払い増加である。

 貿易摩擦は、貿易量を縮小させ、経済活動に負の影響を及ぼすだろう。企業経営者は政治の不透明さにより投資を抑制するだろう。それは新興国のみならず、世界的に景気の後退を呼び込むことになる。今度不況になると、金利を下げるという手段もなく、金融緩和を行うこともできない中央銀行と、財政出動で公共投資を行うことのできない政府が右往左往することになる。

 つまり不況を克服するためのカンフル剤は無いということになる。関税の引き上げにより、各国の輸入物価は上昇しインフレを招く。中央銀行は、不況とインフレというスタグフレーションに悩まされるだろう。その時、株価下落のセーフヘブンとして、またインフレヘッジの金としても、金はその有用性を増すだろう。

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