市場は何か その20

 10月23日の日本経済新聞で総合取引所構想が始動したことが報じられた。
先物などデリバティブ市場で出遅れている日本取引所グループは、いよいよ商品取引を導入することに本腰を入れ始めたようである。

 筆者がフィスココモディティーを経営していた2005年頃、大阪商品取引所や東京商品取引所の幹部の訪問を何度か受け、また日銀からもヒヤリングを受けたことがある。日本にとって商品取引所が別建てになっていることに対する一つの懸念を各取引所は持っていた。
 
 大阪商品取引所はその後東京商品取引所と合併し日本取引所になったが、先物等のデリバティブは大阪商品取引所が扱うことになった。しかし、例えば英国商品取引所は150を超える商品のETFが存在するが、日本取引所には商品ETFの上場は数えるほどしかない。

 米国の投資家は、商品も証券もETFだろうが先物だろうが、一つの証券会社の口座で取引ができる。金が上がりそうだと思えば、手持ちの株を売ってNYMEXの金を買ったり、原油を売ったりすることは一つの口座でできる。

 政府の管理体制も、商品と証券という区別はなく、証券はSEC(証券取引委員会)が管理し、デリバティブ取引はCFTC(商品先物取引委員会)が管理している。CFTCとは商品先物取引委員会であるが、内容は証券も含めた全ての先物、オプション、スワップ等デリバティブ取引を管理している。

 中国では日銀に相当する人民銀行が金を管理している。また金の現物を扱う上海黄金取引所は人民銀行によって設立管理されている。金や原油等の商品先物取引を扱う上海期貨交易所は、中国証券監督管理委員会の管理下にある。
 
 一方日本は、商品は経済産業省(旧通産省)と農林水産省、金融商品は金融庁(旧大蔵省)の管轄に商品ごとに管轄されていることが、商品取引を世界に出遅れさせた一つの理由となっている。
 
 金についても、本来金本位制度の頃は大蔵省が管轄していたが、通産省が金は「モノ」であるという観点から管轄を移管したため、日本の外貨準備における金の保有量は2001年以降765トンから全く変わっていない。その間に多くの国の政府保有金量は変わっている。ことに最近ではドルの金利が上がっており、米国債の価格が下がっているため、米国債に多額の評価損失が発生しており、ロシア、中国、インド、日本も米国債の保有量を減らしているが、その一方で、ロシアや中国、インド、カザフスタン、ポーランド、ハンガリー等多くの国は金の保有量を増やしている。中国は基軸通貨としてのドルを減らし、人民元建ての貿易取引を増やしているが、その通貨の裏付けとしての金を持とうとしている。

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