市場とは何か その19

 商品投資がお薦めなのは、三つの理由からです。一つは、商品価格は株価や債券価格等金融商品の価格変動とは相関性が無いということ。10月10日にNY株価が急落し、世界中の株価は一斉に下落しましたが、この時とばかりに金価格は上昇しました。NYDOW平均株価は、▲549.2ドル(▲2.1%)下落する一方で、NY金価格は、+34.2ドル上昇しています。株式投資から避難した資金は金ETFに向かい、日次の残高情報によれば、10月10日時点の1,638トンが、16日には1,656.5トンと+18.5トン増加しています。米国債の金利は3%を超えて上昇していますが、これは逆に言えば債券価格は急落しているということで、米国債を保有している投資家は、債券価格暴落による評価損失を被っています。10年も待って満期まで保有することができるのは、中央銀行等よほど資金に余裕のある機関投資家で、通常の債券投資家であれば、債券価格の下落は損切りに向かうところでしょう。価格の下落も一時的な調整安であると読めば、含み損を抱えながらの投資継続も可能かもしれませんが、今後の景気悪化次第では、これまでのような値上がりは、もう期待できないのではないでしょうか。

 二つ目の商品投資の魅力は、商品には信用リスクが無いという点です。株式や社債には、発行者の信用リスクが伴っています。倒産することはほとんどないと考えられますが、日本のバブル崩壊時や2008年以降の世界金融不安の時には、銀行の信用リスクでさえ大きく棄損し、つぶれることは無いと思われていた大手証券や大手銀行が合併や倒産の憂き目を見たことは事実です。金や商品には価値が低下することはあっても、価値が全くなくなることは、千年以上の歴史の中で無かったことです。その時々の需給や、その商品の必要性等の変化で価格が変わることはあっても価値がゼロとなることは考えられないでしょう。

 三つ目の商品投資の魅力は、株価や債券、為替等の金融商品に比べて、商品の方が価格の動向を把握しやすいという点です。株価にしても、為替にしても、なんとなくムードで売買されているのではないでしょうか。株価には、株価収益率等の指標がありますが、指標の基本となる収益そのものの動向は、その企業の経営者ですら正確には把握することは困難と思われます。単一商品を扱っている企業などないからです。一つの部門の業績が良くても、他の部門で大きな赤字が出る可能性は事前にはわからないでしょう。ましてや外部の人間がその企業の収益を計測することは不可能ではないでしょうか。更に、株価は3500銘柄以上あり、アナリストがそれらすべての企業の業績を分析することは難しく、個人が利用している会社四季報は、2ヵ月遅れで発行された情報で、とてもタイムリーで正確なものとは言えないと思います。その点、商品の需給は少なくとも月次ベースでは正確な世界の生産量と需要量が各国の政府機関等から統計数字となって公表されています。需要はある程度読みが入った数値ですが、過去の経過から逸脱するような情報はあり得ません。要するに商品価格の予測には比較的豊富で正確な統計データがあるということです。

 投資家は、ポートフォリオの一部に商品を組み込む方が、投資効率が上がるということは過去のファンドのパフォーマンスで現れています。少なくとも金を資産の5%程度は充てるべきだと言われています。

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