市場とは何か その15

 市場の動向を読み解くにはいくつかの方法がある。一つはどれだけの人は市場に出ている物を欲しがるか、そして、どれだけの人が市場に物を供給できるかといういわゆる需給動向である。

 商品の場合は、その需給は比較的わかりやすい。物を作っている統計データがそろっており、また需要といわれるものも少なくとも過去の統計データが輸入統計や、国内販売数量等のデータが年ごと、あるいは、月ごと、米国エネルギー情報局の場合は週ごとに精細な需給データを出している。その点株式市場はある銘柄に対する需要と供給というデータは無いと思う。為替取引にしてもドルを欲しがっている人はとても計測することは不可能である。株式市場も為替市場もかなりおおまかな需給データしかないと思う。

 市場の動向を探る二つ目の方法は、内部要因である。誰が何をどれだけ買っており、いつそれを売りに出すかとか、もし市場の中に立つことができれば、だれがどれだけ買おうとしているか、だれが売ろうとしているかを見ることができる。すでに無くなってしまったが、日本の商品先物市場で場立ち制度があったころは、売りの手をだれが出しているかは一目瞭然であった。そうした場立ちの後ろにいるのが仕手筋なのか、商社なのかを読むのも一つの価格の流れを予測する方法であった。市場に近づけば近づくほどそうした相場の流れは良く見える。

 今日のように、すべてがコンピューターの中で取引が行わるようになると、こうした読みの能力を発揮する場は少なくなってきた。まだロンドン金属取引所や、シカゴボードオフトレード等は人間の手で価格を決めているので、こうした内部要因を読んで大金持ちになったブローカーはたくさんいる。

 株式取引の場合の内部要因は、おそらくインサイダー取引となってしまうであろう。商品の場合はファンドの建玉という指標がある。毎週金曜日に米国商品先物取引委員会から公表されている。それを見たからといって価格が予想できるわけではないが、買い残が極端に多くなっていれば過去の経験からそろそろ売り逃げるだろうと予測することができる。現在のNY金は売り残がこの8月末に過去最大になり、それから二週間ほど少し買い戻されたが、まだ多い売り建玉である。

 最後に市場全体を覆うムードのようなものがある。これは、景気やマクロ経済の動き、金融危機や不動産不況、株価の暴落等、平穏な時代のリスクオン、何か事件が起きそうなときのリスクオフ、あるいは突発的な事件や事故、内乱や紛争の発生、異常気象等である。今豪州が大干ばつに襲われており、牛の飲み水が無くなっている。小麦等の生産に影響が出るかもしれない。メキシコ湾にハリケーンが襲えば、海底油田の掘削リグから労働者が避難する。それは原油価格の値上がりにつながる。

 こうした要因をいちいち見るのは面倒だという投資家が開発したのがテクニカル分析と呼ばれるものである。長期波動や短期波動などかなり当たるものもあるが、複雑にすればするほど当たらなくなるのではなかろうか。そんなことで当たるほど相場は単純ではないと思うが、独自に開発した指標を信奉している投資家もいる。

 どちらかといえば、特別に開発した分析手法よりは、万人が使う単純な移動兵器や相対力指数の方が当たるような気がする。なぜなら、多くの人がゴールデンクロスで買いを入れるためだ。しかし、一目均衡表で雲の上にでても、どれだけの人がそれを見ているかは疑問であるため、当たるとは思わない。

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