原油市場はリスクが無かった場合のリスクもある

 広く報道されているように米国のイランに対する制裁再発動を受け原油輸送の大動脈であるペルシャ湾をめぐって緊張が高まる恐れが出ている。米政府は11月に予定される制裁措置でイラン産原油の禁輸を盛り込むことから、イラン側はこれに対しペルシャ湾の入り口に位置するホルムズ海峡を封鎖する姿勢を示している。このため米国はタンカー航行の安全確保のため警戒態勢を強めている。事実、イラン政府は7月上旬にホルムズ海峡とペルシャ湾に艦艇を集結させて軍事演習を実施。イラン革命防衛隊筋は「原油が輸出できない事態となった場合はホルムズ海峡を封鎖させることもある」との見解を明らかにした。

 地図をみれば説明するまでもないが、ホルムズ海峡は、北側を広くイランに囲まれ、南側はUAE(アラブ首長国連邦)の北端に接する、”先端が尖がったカギ状の土地に囲まれた狭い海峡”である。サウジアラビアやイラク、クウェートなど主要ペルシャ湾岸諸国の原油タンカーが航行する、世界最大の原油海上輸送拠点。この航路を取るタンカーの世界シェアは3割強を占める。またそのうちの8割強がアジア向けで日本にとっては原油輸入の生命線である。

 ちなみに、紅海(サウジアラビア西側)でサウジ所有の原油タンカーがイエメンのイスラム教シーア派系武装勢力(イランの支援を受けていると推測されている勢力)に襲撃され、サウジがこの海域の要衝バブエルマンデブ海峡でのタンカーによる原油輸送を一時停止する事態となったことは、まだ記憶に新しい。

 このため、紅海のタンカー航路、ホルムズ海峡と合わせ、原油輸送の要衝2カ所で強い影響力を持つイランに対し圧力をかけたしっぺ返しが、世界的な規模でのエネルギー安全保障の脅威となって表れたことになる。
 

 

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