金の工業用途~半永久的な再生可能金属

 食料は、食べて無くなる需要である。また石油などエネルギーは燃やすとなくなる需要である。

 これに対し金属は、どのように成型加工されても素材は残るものである。自動車であれ、建築物であれ、たとえその性能が劣化して廃棄物と化しても、スクラップとして再溶解されて他の用途に使われる。

 鉄で言えば、高炉は鉄鉱石から鉄鋼を産み出すが、電炉は市中で発生する鉄屑を溶かし直して、丸棒等の鋼材とする。

 一方、貴金属は、その特性として何度でも再溶解して利用できる。鉄の場合は、自動車鋼材がスクラップとなっても再び自動車に使われることはない。性能が劣化するから自動車のような薄板はできないからだ。

 しかし、金やプラチナは完全に元の姿に戻るのが特徴である。金の場合主な用途は金線である。ボンディングワイヤ-といって半導体の材料となる。筆者は香港で三菱マテリアルの金線をテキサスインスツルメンツに販売したことがある。

 金の特性には導電性、耐食性、展伸性がある。手のひらに乗る豆粒のような金1グラムが畳半畳程に切れ目なく広がる特性がある。人工衛星は宇宙線から本体を守るため金箔で覆われている。金でも白金でも工場の装置となるような部品を作る時は、同じものを二個作れば半永久的に新たに購入する必要はない。一つが汚れたら、取り換えて、汚れたものは再溶解して新品と同じ製品を再生することができる。

 貴金属は再生しても新品と全く同じものとなる。なぜなら、貴金属は混ざらないためだ。金もプラチナも合金にするが、溶かし直すと元の99.99%純度に分離することができるという性質がある。金のボンディングワイヤも半導体の中に微量が埋め込まれるが、古くなったコンピューターを解体して緑色の基盤から黒いICチップを取り出し、それをプラスチックごと溶かすと金だけが析出する。プラチナだとガラス工場や石油化学工場に大量に使われて装置産業の部品となっているが、汚れがひどくなれば、再溶解すれば良い。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事