薄らぐ地政学的リスク

 金価格にとってまた一つの地政学的リスクが薄くなった。12日、シンガポールにおけるトランプ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長との会談が成功裏に終わったためだ。

 この会議終了後にドルインデックスは+0.17%上昇し93.72となり、金価格は▲2.40ドル下落して1300.90ドルとなった。

 金価格にとっての価格変動要因は主に三つ挙げられる。一つは金の需給の変化、二つ目はファンドの建玉の変化など市場内部要因、そして三つ目がセーフヘイヴンとしての金の役割に対する需要で、それは地政学的リスクの増減によって図られる。過去には1980年のソ連によるアフガニスタン侵攻、2008年のリーマンショック、2010年のアラブの春及び欧州債務危機等大きな政治・経済変動により金価格は上昇した。

 最近はそうした危機的状況は少なくなっている。北朝鮮がミサイルを発射した時は一時騒がれたが、金価格はそれほど反応しなかった。トランプ氏が2016年11月に大方の予想を覆して大統領選挙に当選した時は一時どうなるかと思ったが、海外との摩擦を起こしながらも、とりあえずは政局を乗り切っている。今年2月に米国株価が暴落し金価格は上昇したが、その後米国の力強い経済成長により、むしろ利上げが当たり前となり、利上げによる株価の修正はあるとしても株価の暴落は当面なさそうだ。

 中国では、長らく国有企業や融資平台*の過剰債務が取りざたされてきたが、倒産する企業は少なく、堅牢な銀行経営により、債務事故を未然に防いでいる。こうした政治経済情勢が続く限り、金価格は安定的に動くであろう。『まさかの時の金』の出番がないからだ。明日13日(日本時間14日)は米国FOMCで利上げが行わるだろう。これまでの経緯から見ると利上げ前にドル高となり金価格は下落し、利上げが成就するとドルは修正安となり金価格は次の利上げの前まで上昇するというパターンであった。今回もそうなるという保証はないが、3度あることは4度あるかもしれない。

*融資平台は中国の地方政府傘下の投資会社。資金調達とデベロッパーの機能を持つ。中融資平台に流れ込む資金の大半は、銀行や信託会社が販売する「理財商品」と呼ばれる個人向けの運用商品となっている。近年は中国経済が減速する中で、融資平台は「隠れ借金」とも指摘されている。
 

 

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