中東のリスク要因でブルの状態が鮮明となる原油市況

 イランに対する経済制裁によりイランの原油輸出は制限されることが予想され、それによる需給引き締まり感が広がっている。実際、2012年に米国がイラン制裁を科した当時、イランの原油輸出が日量450万バレルから日量350万バレルまで約100万バレル減った経緯がある。現在のイランは、国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、日量380万バレルまで輸出を回復しているが、これからの制裁措置で前回と同様、一定水準は減少するのではないかと推測される。

 影響が心配されるのはそれだけではない。イランの地政学的リスクで周辺諸国まで影響が出た場合、イラン以南と西地区のペルシャ湾岸に位置する世界有数の原油生産国にも輸出障害懸念が台頭する。具体的な産油国に、世界最大の産油国サウジアラビアほか、クウェート、バーレーン、UAEに、オマーンがある。イランとこの5カ国を合計した産油量は約2000万バレルでOPEC産油量の約4割、世界産油量の約2割を占める。

 このような状況を鑑み、イランの核合意の米国の離脱の影響が、長期化する恐れがあるとともに、多岐に及ぶ可能性もあるため、マーケット分析者の中には重く事態を受け止める向きが一部にある。

 ただし、一般的に、事は深刻化しないと冷静に判断する向きが多い。事実、英キャピタル・エコノミクスは、制裁復活によるイラン原油の減少を予想してこれまで価格は上昇してきただけに材料は織り込まれており、「影響は限定的」とみている。また米ゴールドマン・サックスも、欧州連合や国連の制裁も再開されるわけではないことから、「一部で取り沙汰されているほど事態は深刻ではない」と冷静に判断している。

 別な角度では、根本的に、60~70ドルは米シェールオイルの生産コストラインであることが、上値の限界観測につながっている。
 

 

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