金価格とプラチナ価格

 折からそれまで唯一の世界の精細な需給情報を出していたJhonson Matthey(JM)社が需給の公表を取りやめた。これにより世界の需給状況の細かな動きは投資家の視界から消えることとなった。
 

 
 当時、JM社は「地上在庫」なるものを公表していなかった。そもそも、「地上在庫」とは、自動車メーカーが保管しているプラチナ在庫のことを言い、それは門外不出の極秘情報であり、外部に漏れることはあり得ないことだった。要は、プラチナディーラーはそうした「まことしやかな情報」に踊らされたということになる。真実はともあれ、プラチナ価格はその後下がり続け、日本と米国のプラチナ先物市場は、需給の動きを反映しない細々とした市場に成り下がった。また日本の商社もこの頃から貴金属のディーリング事業から相次いで撤退している。

 それまでの東京商品取引所やNYMEXの価格は、出来高こそ他の商品市場より少なかったが、それなりに、世界のプラチナ価格の指標となり、需給を反映した市場であった。しかし、2015年以降のこれらの市場はレイムダック化し、売り手に圧倒された市場となっている。プラチナ価格は一般投資家が買っても値上りせず、一貫して下落圧力にさらされた市場となっている。

 このプラチナ市場の崩壊は、プラチナ鉱山会社を疲弊させ、昨年南アのプラチナ鉱山の採算は軒並み赤字となり、いくつかのシャフト(縦抗)は閉鎖され、新規投資は控えられている。

 折から、フォルクスワーゲン社によるディーゼル車の排気ガス検査の偽造問題が生じ、そのために欧州ではディーゼル車の乗り入れ制限をする都市が現れ、それがディーゼル車の売り上げを急減させている。

 2018年の1月~3月のドイツの乗用車登録台数は前年同期比+4.0%増の87万8,611台となっているが、3月の販売を燃料別で見ると、ガソリン車は+9.3%増でシェア64.0%、ディーゼル車は▲25.4%減でシェア31.4%、ハイブリッド車(HV)+45.4%増の1万874台、電気自動車(EV)は+73.1%増の3,792台となっている。

 プラチナにとっての向かい風は、今後の電気自動車化である。BP社によれば、現在世界に9億台の自動車があるが、そのうち1億4200万台が2025年までに電気自動車になるという。また2035年までに最大では4億5千万台が電気自動車化するというIEA(国際エネルギー機関)の予測もある。

 電気自動車化のスピードは今後の技術革新の進度にかかってくるが、いずれにせよ先進国や中国では排気ガスの出ない電気自動車が主流の時代となるだろう。
 

 

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事