宝飾品について

 インドで昨年11月破産法が発効した。確かめたわけではないが、インドの貴金属商は銀行から融資を受けてもなかなかすんなりとは返済せず、のらりくらりと支払いを滞らせていたのではないかと勝手に想像している。なぜそうなるかというと、貴金属商とは、たいへん資金のかかる職業であるからだ。

 筆者が在籍していた商社では筆者の同期が、入社直後にロサンゼルスで宝石鑑定士の講習を受け、免許を取って定年まで宝飾品の事業に携わってきた。主だった百貨店の宝飾品売り場は、実は百貨店の名前を借りた商社の営業店舗であった。しかし、数十年後には、宝飾品を扱うこのチームは採算が採れず店じまいの憂き目となった。それは、膨大な資金がかかる割には利益が少ないことにあった。

 宝石というと高価な商品で大きな利益を乗せて販売していると思われるかもしれない。事実その通りであるのだが、それは売れない見せ物の商品の採算も上乗せせざるを得ないためにそうなるのである。つまり、多くの宝飾品を陳列していなければ、一つの宝飾品は売れない。全商品完売ですという事態は宝石店にはありえない。アパレルメーカー同様、こうした業態では、しばしば在庫一掃セールを行う。資金を作るために販売価格を下げても仕入れ値以上で売れれば良いというセールを行うのだ。商店では必ずそうした在庫処分をしていかないと、陳列品が流行遅れになったり、在庫資金の重みで、資金繰りに詰まることになる。

 個人が宝飾品を買う場合、賢明な買い方のひとつは、自分でメレダイヤ(小さなダイヤ)を何個、センターストーンは何、リングはプラチナとか金とかを指定してオーダーメードすることだ。これなら原価プラス加工賃に若干の利幅を上乗せされた価格で、お好みの宝石を作ることができる。宝石メーカーとしても確実に利益が出れば文句はない。これが百貨店等で買うと数倍の正札が付けられることになる。在庫品の利益が上乗せされるためだ。

 インドではこれまで現金決済が主流であったが、今後は貴金属商も銀行取引が主流となるだろう。材料としての金をインドの銀行からリースを受け製造販売することになる。リースであれば、在庫資金はかからない。こうしてインドも近代化の道を歩みつつあり、今年はまだその過渡期なので、インドの金需要はそれほど見込めないとGFMS(英国の貴金属商)は述べている。

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