ユーロ高→ドル安→商品高

③ ユーロ高の背景にある3つめの要因は、「欧州中銀(以下ECB)による大規模緩和からの出口戦略」である。今年初にユーロドル相場が一段高となった背景も、ECB理事による発言を受けて資産購入の終了時期が早まるとの観測が再燃したことなどにあった模様。もとよりドラギ総裁は昨年6月シントラ(ポルトガル)での講演で、ユーロ圏ではデフレの脅威がリフレに置き換わったと発言し、政策判断の軸足が超緩和政策からの出口へシフトしていることを巧みに印象付けた。依然好調が続く経済活動とともに、物価指標の上振れも散見されており、ECBの政策判断を巡る市場参加者の関心は「出口戦略の前倒しの可能性」に集中し続けるだろう。なお、昨年12月にECBが発表した四半期毎のスタッフ見通しでは、実質GDP成長率予想が+0.5%ポイントの大幅上方修正(2018年見通し:1.8%→2.3%)、物価上昇率(同1.2%→1.4%)も+0.2%ポイント引き上げられていた。

 こうして概観すると、昨年前半に観察されたユーロ高の第1波は、ユーロに対する期待値が低かったために発生した“見直しのユーロ買い”であった一方、昨年11月以降今に続く第2波は、ユーロ圏の景気回復に対する信頼とECBによる出口戦略推進に対する思惑が行き渡ったことによる“やや本気のユーロ買い”と言えるのかもしれない。

 ユーロは、過去10年で2度の深刻な金融危機に直面し、その存続すら危ぶまれる場面もあった。この間グローバル投資家はユーロ建て資産をアンダーウェイトに据え置いてきたわけだが、昨年は前年に英米で発生したような極端な政治危機が一旦回避され、また、経済活動の多くがグローバル金融危機以前の水準を回復したことで、株式を中心にアンダーウェイトの修正が大規模に行われた模様である。これにユーロ圏への直接投資の回復も加わって、ユーロ圏からの純資金流出が縮小し、需給面からユーロを下支えしている。

 イタリアやスペイン、そして、ドイツの政局に不安が残るものの、景気回復が期待以上のペースで持続しており、政治面の悪材料に対するユーロ相場への影響は限界的となっている。また、極めて緩慢ながら出口戦略を粛々と進めるECBの方針にも今のところ変化はなく、2018年もユーロ相場の底堅い推移が続く蓋然性が高いと見て良いのではないか。もっとも、米国では年内に少なくとも2、3回の利上げが展望されていること等に鑑みて、この先のユーロの上昇幅はさして大きいものにならないだろう。

(以上公益財団法人国際通貨研究所レポート参照)

 昨年はユーロ高の年であったが、それは裏返せばドル安の年でもあった。3度の利上げを行いながら、ドルは一年で約11%値下がり、ユーロドルと対照的であった。NY金価格やNY原油価格等ドル建てで表示される商品価格はドルが安くなれば商品価格高になる。それが、昨年から今年にかけての商品高の一因であろう。NY金は一年で+13.8%高、NY原油は+17.4%高となっている。

 上記レポートでは、今年も欧州の景気は一段と良くなり、またECBによる金融緩和の縮小が行われるため、将来の利上げを見越して緩やかではあるがユーロ高が続くとしている。ということは、商品高も当分続く可能性が高い。
 

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