ゴムの市況対策を分析すると…

 東京ゴム先限は年明け早々の5日に204円と昨年12月27日の高値213円80銭から約10円安を強いられた。

 しかし、その後の相場は上昇へと転じ、先週末の12日には211円まで切り返し、前述の高値213円80銭にあと3円弱に迫っている。

 このように、東京ゴムが上昇へと転じた背景には、①期近3本を中国筋と称される向きが買い玉を仕込み、12月限納会に続いて、1月限納会でも現受けを敢行するとの噂が広がっている、②タイ、インドネシア、マレーシア3ヵ国が1~3月の3ヵ月間で合計35万トンの天然ゴム輸出を削減することが決定、開始したと伝えられた、③昨年にタイ政府が20万トンの天然ゴム買い上げを実施すると発表した、④タイ産地では2月以降、乾期による天然ゴムの減産期を迎え、供給量が減少する季節となる…などが原因と見られる。

 肝心な点は、これらの材料をどう評価すべきかだが、強気の中国筋にとっては大歓迎の材料であり、一方で、弱気筋にとっては歓迎出来ず、場合によっては、『不鮮明な材料ながら、とりあえず、安全策で売り玉を手仕舞っておくか…』となりやすく、当面の相場は内外で強基調を維持する可能性がある。

 東京ゴム先限でいえば、昨年12月27日の高値213円80銭を抜けば、同9月27日の219円10銭が視野に入り、そこまで買い上げられると予想される。

 ただし、前述の①~④が本当に強材料として長くそれを維持することが出来るかどうか。例えば、天然ゴム生産国の1~3月35万トンの輸出削減にしても、それが厳守されているか監視機関がない。現に3ヵ国は2016年3~8月に61万トンの輸出削減を実施したが、タイが協定破りをしたといわれ、このため、今回の35万トン輸出削減ではインドネシアがタイに対して遵守を迫ったという経緯がある。

 それに、3ヵ国が35万トンの輸出削減を実施すれば、生産量を削減しない限り、それぞれの生産国在庫はその分だけ増える計算になる。今回の国別輸出削減はタイ23万5,000トン、インドネシア9万5,000トン、マレーシア2万トンだが、理論的には輸出削減が3月末に終了したあと、4月以降に積み上がった在庫を3ヵ国が売却することになるわけだ。

 それだけではなく、タイは23万5,000トンの輸出削減だけではなく、先に、農民対策として20万トンの天然ゴムを買い上げ、その資金として127億バーツの予算を決めたが、果たして、その資金が確保出来るのか、また、確保しても、輸出削減と市場介入で買い上げた現物あわせて43万5,000トンもの市況対策が可能かどうかである。

 タイが20万トンを市場で買い上げれば、その保管量、品質低下、売却を考えなければならない。過去、20万トンの天然ゴムを買い上げたものの、その売却を巡って天然ゴム価格が低迷したことは記憶に新しい。

 供給過剰でタイ産地の天然ゴム相場が低迷するなかで、東京ゴム、上海ゴムが高値を維持した結果、東京商品取引所のゴム指定倉庫在庫は昨年末で9,000トン弱に増加し、今年2月には1万2,000トンへと増加する見通しにある。

 上海市場にしても1月5日現在で40万トン弱へと在庫が増加しただけでなく、昨年11月に供用期限切れになった現物が19万トンも残っている。

 これらは、いずれも東京、上海のゴム価格がタイ産地の価格よりも割高にあったからで、高値が荷を呼んだ結果だ。

 中国筋は昨年12月から東京で現物を受けているが、これによって、手持ち資金が寝てしまうことを意味する。

 内外の需給を分析すると、この相場を買っても大きく利を得ることは難しく、売り場待ちとの結論になるが…。
 

 

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