^
ページTOPへ

サウジアラビア発の波乱

 突然NY金とNY原油価格が上昇した。11月6日のNY金価格は前日比+12.4ドル高の1281.6ドル、NY原油価格は前日比+1.71ドル高の57.35ドルと2年4ヵ月ぶりの高値を付けた。下落基調だった金価格まで反発させたのはサウジアラビアの11人の皇太子の拘束によるものである。

 これはサルマン国王がその後継者の息子のムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32歳・以下MbS)の権力体制を確立し、次期国王にするための布石である。有力王族は汚職の罪でリッツ・カールトン・ホテルに収容されている。その中にはアルワリード・ビン・タラール王子が含まれており、同王子は米ツイッターや米配車サービス大手リフト、米金融大手シティグループ、高級ホテルチェーンのフォーシーズンズ・ホールディングス等の株式を保有、米国で教育を受けたアルワリード王子は、米国の経済ニュース番組ではおなじみの顔で、自身の投資や世界経済、米国の政治について積極的に発言してきた。10月には首都リヤドからCNBCに出演し、長時間のインタビューに答えた。話題はビットコインから計画中の国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)まで多岐にわたった。

 派手な大富豪で財界大物のアルワリード・ビン・タラール王子以外に、強大な権力を持つサウジアラビア国家警備隊の元司令官で現職閣僚のムトイブ・アル・アブドラ王子が含まれ、故ファハド元国王の義理の兄弟で、アルアラビーヤを傘下に抱える衛星放送局MBCグループを経営するメディア王ワリード・アル・イブラヒム氏もいる。。また、マンスール・ビン・ムクリン王子とアシール州の高官数人が乗ったヘリコプターは墜落した。現在国外逃亡を禁じるために空港は封鎖されている。

 サウジアラビアの人口の平均年齢は若く、MbS皇太子の支持基盤は30歳代以下の若者が中心で、富豪の汚職摘発は、彼らの喝さいするところである。2030年までに脱石油を目指し、国有石油企業サウジアラムコの5%の株式を売却しようとしている。しかし、原油価格低迷でIPOの時期が遅れており、もしかすると中国に単独で売却する可能性も出てきた。

 ライバルを拘束したからといって、権力が安定したとはまだ言い切れない。こうした強権発動には底辺で反政府活動が起きることもある。今後拘束した王族の海外資産をサウジアラビアに償還させるのが一つの目的ともいわれている。

 今後の展開次第では、原油価格や金価格にさらなる余震が走るかもしれない。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

最新記事

 
 
 

関連記事