中国で金融不安勃発

 先週19日水曜日に起こったことは、米国連邦準備制度理事会(FRB)の公開市場委員会(FOMC)を終えたバーナンキ議長が記者会見の席上で、金融緩和のための毎月850億ドルの債券買い取りを年内に縮小し、来年には終了するという、金利操作ではない非伝統的金融を来年1月までの自分の任期中に終了させる道筋を作る意欲を示したことである。この発言は世界を動かした。米国株式市場は、DOW平均株価が火曜日の15318.23ドルから金曜日の14799.40ドルまで▲518.83ドル、▲3.4%下落させ、その一方で、10年物米国債金利を+0.36%、+16.3%押し上げた。ドルインデックスは、+18.22%上昇して世界的なドル高となり、ドル円も▲2.57円2.7%円安となった。BRICs諸国の株価はロシアロイターが▲68.34▲5.2%下落したのを筆頭に、ブラジルボベスパが▲2408.90▲4.9%、香港株価が▲962.57、▲4.5%、上海B株▲6.749、▲2.7%、インドセンセックスが▲449.04、▲2.3%下落した。つまり、バーナンキ議長の発言は、米国債を買わせ、長期金利を押し上げ、景気の悪化を意識させて米国株を下落させ、ドルを借り入れて世界の市場に投資するドルキャリートレードで世界の新興市場投資を行っていた資金を解約して米国に還流させている。ゴールドマンサックスは新興国投資ブームは終わったと述べている。資金が米国に戻ることによりドルを世界的に強くさせ、新興国通貨は軒並み安くなり、今後の新興国諸国の景気悪化を予感させている。
 
 最も気がかりなのは中国の金融不安である。中国では不動産ブームにより土地価格が上昇し続けており、地方政府や不動産ディベロッパーがこの機会を逃すまいとして住宅開発を急いだ。地方政府自身は融資を受けることを禁じられているため、融資平台(プラットフォーム)という別組織を造り、そこに、金融機関から融資させ土地開発に当たっていた。最近では中国の大企業が高い金利を取れるというので、金融機関から融資を受けてそれを融資平台等不動産関連組織に転貸しするという影の銀行(シャドウバンキング)が横行していた。
 ところが、先週中国の銀行間取引市場である短期市場で異変が起きた。それまで潤沢に資金を提供していた外国企業が一斉に資金を引き揚げ始めたため、短期金利が高騰したのだ。短期金利の指標となる上海銀行間取引金利(SHIBOR)翌日物は8日、9.581%まで上昇。2007年に算出を始めてから最も高くなった。金利が急騰し始めたのは6月6日からで、8日は急騰前の5日と比べると4.958%上昇した。更に20日SHIBORは1日で7%跳ね上がり、翌日物が13.444%を付けた。短期金利は2週間で3倍近い水準に跳ね上がったことになる。銀行の中では資金繰りに窮し、翌日物金利30%で資金の借り入れを求める銀行もあるという。そんな中で、中国のエバーフライト銀行が、銀行間貸し出しでデフォルトした。短期金利が上昇しているのは、銀行間で信用不安が拡大しているからだ。貸し付ける相手がいつ倒産するかわからなければ、貸し手は少なくなり、借入金利は上昇する。借入できなかった銀行は倒産する。金融機関の信用リスクを判断する指標としての中国の信用保証料率、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)保証料率は21日、1.335%まで上昇し、昨年6月以来約1年ぶりの水準となった。英米格付け会社フィッチ・レーティングスが地方政府の隠れ債務の存在を理由に中国国債の格付けを引き下げた。同社は、貸出債権や私募債などを小口化した「理財商品」と呼ばれる中国の金融商品の足元の残高は13兆元(約210兆円)とみている。「理財商品」とは正規のルートでの調達が難しくなった不動産会社や地方政府などが、通常の銀行の融資規制を介さずに資金を得る手段の1つだ。取引実態が不透明ないわゆる「影の銀行(シャドーバンキング)」問題の核心にあたる。しかし、仮に問題があっても銀行の不良債権などにはカウントされず、開示情報からは必ずしも伝わってこない。それが上海市場での短期金利急騰の一因でもあり、中国の金融システムへの漠然とした不安をかき立てている一因だ。中国でのマネー急拡大は経済統計からも推測される。銀行貸し出しに債券や信託、企業間の直接金融である「委託融資」などを加えた社会融資総量(広義の貸出金)は1~3月期で6兆1634億元(約100兆円)に達している。中国内総生産(GDP)が前年同期比で7.7%増加する間、社会融資総量は同58%も増えており、中国の実体経済と金融取引の乖離(かいり)が広がっている。
 

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