強いアメリカと弱い金

金価格の上昇要因として残っていた米国債務上限問題は、5月19日の期限切れを迎えても何ら問題は生じなかった。
米国では税収が増加し、債務上限に達するのは約半年は延びたという。ルー米財務長官は17日、政府の借入能力維持に向け2600億ドル程度を確保するべく、一連の措置を講じる用意があるとの見解を示した。長官は議会指導部宛て書簡のなかで「2011年に起きた瀬戸際政策の二の舞を避けるためにも、議会はできるだけ速やかに(債務上限引き上げを)行うことでデフォルト(債務不履行)の脅威を除去すべきである」と述べた。 財務省は今週、対応策の第一弾として州・地方政府向け証券(SLGS)の売却を停止。その他の措置とあわせ、9月2日のレーバーデーまでは連邦政府の債務不履行を回避できるとした。米国では企業が採用を増やし、住宅価格や株式市場は上昇、エネルギー生産が拡大している。財政赤字が急に縮小すれば、こうした状況がさらに進み、米資産価格を一段と押し上げる可能性がある。 議会予算局(CBO)は14日、今2013回計年度(2012年10月─13年9月)の財政赤字予測を6420億ドルと、2月時点の予測から2030億ドルも下方修正した。2015年度には3780億ドル、国内総生産(GDP)比2.1%間で縮小すると予想。半年前には考えられなかったような、大幅な赤字縮小予想だ。 今週発表されたロイターのエコノミスト調査によると、今年の米成長率は約2%、来年は3%近くに加速すると予想されている。住宅市場がここ1年着実な回復をみせ、2009年に10%を記録した失業率は4月に7.5%と4年ぶりの水準に低下した。住宅市場の回復によって、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は株主の政府に巨額の配当を払えるようになり、税収増加とともに財政を支援する。シェール革命による国内ガス・石油生産の急拡大も明るい材料。調査会社EPFRグローバルによると、年初から5月13日までの間、米国株に投資するファンドには704億8000万ドルが流入した。85億3000万ドルが流出していた前年同期とは様変わりした。15日、米株式指数のS&P総合500種指数とダウ工業株30種は最高値を更新、ドルは大半の通貨に対して上昇した。より良いリターンを求める動きで投機的格付けの債券(ジャンク債)が人気化し、利回りは初めて5%を下回った。強いアメリカの出現にドル高金安の動きは当分続きそうである。

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