矛盾 (欧州編)

世の中には思い通りに行かないことが多い。<欧州編>

 (その1)
 スペイン北部カンタブリア地方議会は4月8日シェールガス採掘のための水圧方式を使用することを禁止する法律を通した。スペイン政府はシェールガス開発をもって失業対策としようとしていたが、その腰を折られた。スペインは、深刻な不況に見舞われ、高い失業率となっている。またエネルギーの76%を輸入に頼っているため、シェールガス開発により、石炭、石油、天然ガスの海外依存度を下げようとしていた。そしてスペインには多くのシェールガスの埋蔵量があることが確認されていた。しかし、シェールガス開発にはfrackingと呼ばれる技術が必要で、これは水や化学物質を地中に注入する工法である。この技術利用に対して環境保護団体が提訴し、この技術の使用を禁じられたもの。
 
 (その2)
 ポルトガルの憲法裁判所が、先週5日の夜、公務員給与と年金支給額の引き下げ法案に関して違憲であるとの判決を下した。この法案は昨年10月に草案が示され、昨年末にポルトガル議会を通過し、年明けにカバコシルバ大統領が署名したもので、53億ユーロ規模の赤字削減策の一部であった。
 話は少し複雑で、カバコシルバ大統領は、年初の国民向け演説において、ポルトガル経済は、不況スパイラルを止めるための緊急対策の必要性について言及するとともに、現在の緊縮財政に対して、社会的に持続不能を宣言していた。その演説の中で、同大統領は「我々には言い分がある。断固として、(ユーロに対して)主張する」と述べた。そして同時に、2013年度の同国予算の緊縮策について、憲法裁判所に法的裁定を求めたのであった。
 つまり、欧州委員会がポルトガル支援に対する条件として認めさせた財政緊縮策を大統領みずから憲法裁判所に違憲かどうかの判断を委ね、思惑通り違憲の判決が先週出たというわけである。欧州委員会から条件として押し付けられた緊縮策は法案とはしたものの、到底国民の受け入れるところではないと判断した大統領は憲法裁判所に投げ渡した格好である。
 先週末のこの違憲判断を受けた結果、EU、IMF、そしてECBがそろってポルトガルを訪問している。ここに第二のキプロス問題が、今週発生しようとしている。

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