欧州債務危機は再燃する可能性は十分ある

 欧州EUROSTATが公表したところによると、1月の欧州17ヶ国の平均失業率は11.9%と過去最悪を記録した。また、欧州委員会は2013年の域内経済成長率見通しを従来の0.4%から0.1%に引き下げ、ユーロ圏に関しては0.1%から▲0.3%へと下方修正し、昨年実績の▲0.5%に続き2年連続の縮小を余儀なくされるとの見通しを示している。

 総選挙後のイタリアは、上院で下半数を制した党が無く、政局の混迷を受けてイタリア10年国債利回りは1月21日の4.181%が3月4日には4.786%に0.6%上昇している。1000兆円の借金がある日本であれば、年間予算の約90兆円に対して、約60兆円の年間金利負担増になる事態である。

 フランスもドイツにその経済力で大きく水を開けられ、欧州委員会の本年成長見通しもドイツの0.5%に対して0.1%とされ、マイナス成長を予想する声すらある。

 ムーディーズは英国のAaa格付けをAa1へと引き下げた。英国の中期的経済成長鈍化が財政赤字改善を遅らせると判断している。

 欧州金融システムの安定感にも一抹の不安が残る。ECBが公表した第二弾のLTRO(長期貸付)の初回前倒し返済額は、市場予想の1300億ユーロに対して631億ユーロと半分以下に留まった。手元流動性の十分な確保という安全策志向でもあろうが、やはり市場調達は未だ自信が持てない金融機関が少なくないことの証左であろう。

 ポルトガルは、昨年第4四半期のGDPが9期連続のマイナスとなった。ポルトガル10年国債利回りは1月24日の5.871%から3月4日は6.472%に約0.5%上昇している。

 ポルトガルの大統領であるアニーバル・カヴァコ・シルヴァ大統領は、年初の国民向け演説において、ポルトガル経済は、不況スパイラルを止めるための緊急対策の必要性について言及するとともに、現在の緊縮財政に対して、社会的に持続不能と宣言した。同大統領は「我々には言い分がある。断固として、(ユーロに対して)主張する」と述べた。昨年秋には、同国独裁政権終焉後最大規模の街頭デモが起こったが、また年明け以降もそうした動きが続き、つい先週末も増税、公費削減に反対するデモ活動で2万規模の人が集まった。EU/IMFによるポルトガル救済支援額は780億ユーロ(約9兆4700億円)で、キプロスの170億ユーロ(2兆600億円)とは桁が違う。

 収入が少なく、財政赤字で資金繰りが厳しい国は、(日本もそうであるが)国債の利回りが高くなり事実上資金調達ができなくなると、国際機関から財政支援を受けざるを得ない。しかし、支援を受けるためには、緊縮財政を強いられる。それは経済成長を押し下げ、国民の生活は困窮に追い込まれる。国民が大反対をして選挙により財政に甘い政治家を選出すると、緊縮財政は行われなくなる。そうした国には、EUやIMFは支援したくても支援できない。EUやIMFに出資する国々の国民の納得が得られないからだ。欧州各国の政治家は自らの地位と緊縮財政の板挟みと遭っている。そうした構図はギリシャでもイタリアでもフランスでも、またポルトガルでも生じている。この自体は不条理というにふさわしい。

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