WTI原油がショックを受けたパイプライン逆送計画

パイプライン会社エンブリッジは、米クッシング地区とテキサス州湾岸を結ぶパイプラインの権益を石油大手コノコフィリップスから買い取り、共同保有するエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズとともに、送油方向を逆転させる方針を示した。

この発表を受けて、11月16日のNYMEX原油先物相場12月限は、前日比+3.22ドルの102.59ドルと急伸した。終値ベースでの100ドル台到達は6月9日以来のことである。同日は、欧州債務不安などから株式・商品相場が軒並み値崩れを起こしていたことを考慮すれば、WTI原油相場が大きな衝撃を受けたことが窺い知ることができよう。

こうした値動きの背景を読み解くには、国際原油相場に対してWTI原油が割安な状態にある理由に注目する必要がある。伝統的には、軽質油のWTI原油は、北海ブレント原油に対して1~2ドル程度の上鞘状態にある。しかし、今年はブレント原油がWTI原油を一時28ドル上回る場面が見られるなど、異常な価格関係が形成されている。

その一因が、WTI原油先物の受け渡し場所であるオクラホマ州クッシング地区の過剰在庫にある。即ち、同パイプラインを通じたメキシコ湾からの送油量が需給実態を無視した高水準にあることで、クッシング地区の需給が必要以上に緩和し、それがWTI原油を投機的な安値圏に押し下げているのである。

今回の発表は、そのクッシング地区の在庫をパイプラインの送油方向を逆転させ、「搬出」に使用するものである。当然に順調に過剰在庫の吐き出しが進めば、WTI原油の国際相場に対する割安感が解消に向かう可能性が高いのだ。少なくとも、一部ヘッジファンドが採用してきたブレント原油買い・WTI原油売りの裁定戦略が破綻の時期を迎えている可能性が高い。

既にWTI原油先物が逆ザヤ化(期近高・期先安)していることを考慮すれば、これによって原油相場が更に急騰するとは考えていない。ただ、ブレント原油との価格差縮小圧力が強くなっていることは間違いない。


ブログ「小菅努の商品アナリスト日記」

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