原油高、需要見通しの改善より大切なこと

WTI原油先物相場は、昨年9月14日の100.42ドルをピークに11月7日には84.05ドルまで軟化しましたが、足元では95~97ドル水準までV字型の切り返しを見せています。

その一因が、石油需要見通しの改善であることは間違いないでしょう。国際エネルギー機関(IEA)の最新見通しによると、2013年の世界石油需要見通しは前年比+100万バレルの日量9,080万バレルとなっています。これは、昨年12月から24万バレルの上方修正です。

昨年はほぼ一貫して「下方」修正されてきた石油需要見通しが、「上方」修正に転換していることは大きな変化です。欧州債務問題が沈静化し、米債務問題のパニック化も回避される中、中国を筆頭とした世界経済に対する信認回復の動きが、漸く石油需要見通しにも反映され始めています。

もっとも、13年はシェール革命の進展する北米地区のみで日量90万バレルもの増産が見込まれる中、これのみで石油需給を供給超過環境から脱せさせるには不十分です。現在の石油需要見通しでは、供給超過幅の拡大を阻止するのに精一杯であり、需給緩和状態そのものには何ら変化は生じない計算です。

では、なぜここにきて原油相場は急伸しているのでしょうか?

もちろん、需要見通し改善のインパクトも否定しませんが、それ以上に重要なのは石油輸出国機構(OPEC)が生産調整に踏み切っていることです。IEAの試算だと、10~12月期のみでサウジアラビアは累計59万バレルの減産に踏み切っています。これによって、初めて石油需給見通しに「タイト化」リスクが生じることになります。

サウジ当局者は、市況対策ではなく需要減退に対応したのみとしていますが、今後も産油量を抑制した状態を続けるか否かが、原油相場における焦点になりそうです。

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