2035年までの世界原油増産は、イラクが45%をカバーする?

国際エネルギー機関(IEA)が10日に発表したイラクについての年次報告が話題になっている。イラクの現在の産油量は日量300万バレル前後だが、2020年までに610万バレル、35年までには800万バレルの増産が可能との見方が示されている。

イラクは、サウジアラビア、ベネズエラ、イランに次ぐ世界第4位の石油埋蔵量を有している。ただ、これまでは湾岸戦争の影響もあってエネルギー部門への投資が十分に行われてこなかったため、産油量は抑制されていた。しかし、近年は治安改善で石油部門への投資が活発化しており、30年代までにはサウジアラビアを抜いて世界第2位の石油輸出国になる可能性が指摘されている。

この計算に基づくと、これから35年までの世界原油増産分の45%をイラク単独で占めることになり、中長期的な原油需給を考える上では、イラクの産油環境が大きな影響力を有することになる。

IEAの試算だと、仮に何らかの理由でエネルギー部門への投資が伸びなければ、35年時点の産油量は日量530万バレルに留まるとされている。つまり、冒頭で紹介した35年までの増産見通しは、270万バレル程度の大幅な下方修正余地があるものになる。その場合は、増産計画が順調に進捗した場合と比較して、原油相場は15ドル程度上昇するとされており、既に始まっているイラクの増産傾向が今後も維持されるのかは、原油相場の上昇余地を占う上でも極めて重要である。

イラク産原油の増産分は中国とインドへの輸出が見込まれているため、中国の対イラク投資が継続するか否かがこの議論の鍵を握ることになる。中国はアフリカや南米などで資源権益の確保に向けて投資額を増大させているが、イラクでも同様の動きを活発化させることができるのかに注目したい。

特に、イラクに関しては石油開発計画は比較的順調に進捗しているものの、石油精製や輸送インフラなどの整備が遅れているため、この部門のボトルネック化を回避できるか否かが、IEAの増産見通しの鍵を握ると考えている。

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