ECB国債購入が金相場に及ぼす影響

9月6日の欧州中央銀行(ECB)理事会では利下げ見送りというサプライズがあったものの、無制限の国債購入プログラムで合意に至ったことで、ドラギ総裁の手腕が一定の評価を受けている。

独国債に対するスプレッド上限の設定や、長期国債の購入などは見送られており、実際の国債購入開始には欧州安定化メカニズム(ESM)の稼動が必要など、幾つかのハードルは存在している。しかし、ECBが無制限での国債購入を行えば、欧州債務問題の沈静化には間違いなくポジティブであり、金相場は素直に買い反応している。

中央銀行による国債購入となれば、米国が量的緩和政策第1弾(QE1)とQE2の形で先行しており、ECBの後追いながら欧州版QE1とも言える政策に踏み込んだ形になっている。ただ、今回の施策は金融緩和効果の最大化と言うよりも、債務問題の沈静化に主眼が置かれたものであり、米国のQE1、QE2とは若干性質を異にしている。確実視されていた利下げが見送られたことからも、それは明らかである。

実際、ドラギ総裁は「(国債)購入開始後は不胎化措置を実施し、通貨供給量への影響を完全になくす」としており、米国型の通貨ばら撒き政策とは一線を画している。このため、金相場に対しては米金融政策ほどの押し上げ効果はないだろう。

ただ、独連銀のバイトマン総裁が「紙幣増刷によって政府の財政を賄うことと同義だ」と強い反発を示すなど、ECBの通貨政策に対する信認が低下することは否めない。ユーロに対する信認の源泉にあるECBが、デフォルト(債務不履行)さえ警戒される重債務国の国債をバランスシートに取り組む影響は小さくない。

短期的には、ユーロ価値の毀損によって得られた資産価格の上昇が、金相場の押し上げ要因になるだろう。ただ、それと同時に各国中央銀行、投資家のペーペー通貨離れ、無国政通貨(=ゴールド)志向が一段と促され易くなっていることも、金相場の中長期上昇トレンドを支持する可能性が高いことが重要である。

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