原油は高くなるか?

 8月25日に米国テキサス州に上陸したハリケーンハービーは、迷走した上、大量の降雨をもたらし、ヒューストンを中心にメキシコ湾岸地域を水没させた。

 この時のNY原油価格は下グラフのように下落した。一方ガソリン価格は上昇して、8月31日に急騰しその後下落した。

 原油価格は当初石油精製設備の閉鎖により原油投入量が減る、つまり原油需要が少なくなると市場は読んで下落したと言われた。これを見たOPECの高官は「One of the most Strangest Things they have seen」と述べている。全米の石油精製設備の25%が集積しているメキシコ湾岸が水没したことで石油精製設備は大きなダメージを受けた。たとえば、日量60万3千バレルを精製している全米最大の石油精製設備、テキサス州Port ArthurのMotiva Enterprises製油所は、再稼働するまでに少なくとも2週間かかると述べている。しかし、米国の石油精製設備生産能力が減少しても、ガソリン需要が減るわけではない。ことに9月4日はLabor Dayの3連休で全米で外出が多くなる。先週の全米ガソリン平均小売価格は未だ公表されていないが、おそらく各地でガソリン価格は上昇していることだろう。

 米国でガソリンの精製ができなくなれば、カナダやメキシコ、あるいは欧州からガソリンの輸入が増えることだろう。つまり、米国の原油投入量は減るとしても、米国のガソリン需要が減らない限り、世界レベルでは米国が減った分だけ原油の投入量が増加してガソリンが作られ米国に輸出されることになる。

 また、水没したのは、石油精製設備ばかりでなく、全米最大のシェール油田も同様である。つまり原油の生産に支障があるはずである。

 それでは、原油先物価格が下落してガソリン先物価格が上昇したのは、なぜだろう。それは投資家がクラックロングのポジションを作ったためと思われる。つまり、原油売りのガソリン買いである。そのため、原油価格が下がり、ガソリン価格が上がったのだと思われ、9月1日にガソリン価格が下がり原油価格が上がったのはその一部が解消されたためと思われる。

 ここからは想像の域であり、かってな予想であるため、当たるも当たらないも保証の限りではないが、連休明けから原油が買い戻され、ガソリンが売り戻されると読んでいる。つまり原油高のガソリン安が更に続くと思っている。

 これは、ファンドの建玉にも表れている。原油に対するファンドのネット買い残は8月8日の週から4週連続で減少しており、殊に8月29日の週は▲13万枚も大幅な売り越しとなっている。これは買いが少なくなったのではなく、空売りが増えたことが下の表でわかる。

 一方、ブレンドガソリンに対するファンドの建玉は、7月18日の週から増加し続け、7週連続して買いが増えている。

 ファンドの建玉は過去の話であり、相場を読むには過去のデータを元に未来を推測するしかない。

 この場合は、売られ過ぎの原油はいずれ買い戻され価格は上がるだろうということと、買われ過ぎのガソリンはいずれ売り戻され価格は下がるだろうという予測となる。もっとも、絶対保証の限りではなく、ファンドは更に原油を売りまくり、ガソリンを買いまくるかもしれない。それは状況に応じて判断するべきだが、少なくとも売られたものはいつか買われるという時間の問題と言えるだろう。
 
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