ロシアのWTO加盟で知っておきたい穀物相場への影響

ロシアは、8月22日付けで世界貿易機関(WTO)の156番目の加盟国となる。申請から19年にわたる交渉を経て、WTOに加盟していない「最後の大国」も、自由貿易化の波に本格的に飲み込まれることになる。

コモディティ相場への影響としては、同国の穀物輸出政策への影響に注目したい。

ロシアは2010年の旱魃被害で穀物相場が急騰した際、穀物輸出の禁輸に踏み切ることで、国際穀物相場を一段と押し上げた「前科」がある。それは、国内の食糧インフレ圧力の抑制を優先するという意味で一定の正当性があった。しかし、今後はWTO協定に基づく国際貿易ルールを遵守することが求められるため、従来のように安易な輸出規制に踏み切ることは難しくなる。

中国は昨年にレアアースなどの資源輸出規制に踏み切ったが、これも今年4月の当事者間協議を経て、7月には紛争解決小委員会(パネル)設置に至るなど大きな問題に発展している。

米農務省(USDA)によると、12/13年度のロシア産小麦の生産高見通しは5月時点の5,600万トンに対して、直近の8月報告では4,300万トンと、3ヶ月で23%もの大幅な下方修正となっている。これは、輸出規制が行われた10/11年度の4,151万トンに迫る低水準であり、マーケットでは再びロシアが穀物禁輸措置に踏み切るリスクが警戒されている。

ただ、19年間もの悲願だったWTO加盟が漸く実現したばかりの現状で、少なくとも大規模な輸出規制が導入される可能性は低いと考えている。裏返せば、この政治環境で禁輸政策が導入される事態になれば、もはやロシアの穀物需給環境がWTO協定の制約を無視せざるを得ない程に、深刻な状況に追い込まれたことを意味する。

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