プラチナ価格は南アの警官隊発砲事件で価格は上がるか?

先週末のNYプラチナ価格は、16日木曜日の始値1396ドルから17日終値の1473.1ドルまでの2日間で77.1ドル約5.5%上昇した。何が起きたかというと、南アフリカの鉱山会社Lonmin社のWesternPlatinum鉱山で労組同士の対立があり、一方の新しい先鋭な労組3000人がストライキを決行し、政府系の労組組合員が鉱山に入ろうとしたところを警備員もろとも殺害してしまった。暴徒化して対立する両労組を鎮圧するために派遣された警官隊は、発砲して、警官2名を含む34名が死亡する暴動となった。そのニュースによりNYプラチナ価格は上昇した。

実は株式会社コモディティー インテリジェンスの近藤雅世は商社時代、よくこのWestern Platinum社を訪れ、何度か地底千メーターの鉱山に入ったことがある。滑車に吊り下げられた10畳ほどの箱に乗り20分ほど揺られて地底に降りると、そこは、灼熱地獄であった。壁が暑くて触れないほどで、ベンチレーターでガンガン送風されているが、汗がこぼれてやまない。そこをトロッコに乗って先端まで行くと、はしご段がありよじ登る。すると高さ50センチほどの空間に出て多くの木の棒がつっかいとなって天井を支えているので、その間を数十メートル匍匐前進する。汗まみれで行った先にポッカリ空いた空間があり、削岩機を持った黒人が白人の指揮の下で、岩を削っている。耳をつんざく騒音のなかで白人監督者が指し示したドリルの先端わずか数センチがプラチナの鉱脈であるという。1000m潜って数センチかよと驚いたものである。プラチナ鉱脈は時々断層で上下に移動しているので、真っ暗闇の中上や下を堀り鉱脈を探すのだそうだ。

こんな灼熱地獄のような職場も、黒人にとっては天国である。当時はダウンタウンを歩いてもホールドアップに会うほど治安は悪かったが、ある程度黒人優遇政策で治安は改善されていると聞く。それでも24%近い失業率ということは、黒人にとっては半分以上が働き口が無い状況であり、本日ビデオニュースを見たところによれば、土で作った小さな家には10人が雑魚寝して暮らしているという。

そうした鉱山労働者の黒人は、毎年賃上げを要求してストライキを行っている。ここ数年2桁の賃上げが当たり前だが、それでもまだ黒人の生活は、貧しいままである。

さて今回の事件を調べると、Lonminという会社は何もからんでいない。黒人労働者同士の職場争いであり、殺人に及んだので警官隊を呼んだところ過剰警備になって発砲してしまったというのがどうやら真相のようである。過激派労組側はインタビューで鉄砲はもっていないと主張しているが、槍のような棒を持った威力団体であったのは間違いなかろう。いずれにせよ、もしこれが会社が警官を呼んで黒人を殺したという筋書きであれば今後経営陣と労組に大きなしこりが残り、生産どころではないという想像ができるが、実際には、労組同士の内ゲバであり、給料が必要な黒人はすぐおとなしく働き始めると想像される。蓄えもないその日暮らしの黒人は、職がなければ生存に困る状況であろう。賃上げのためのストならまだしも、会社側はこの6月にプラチナの売れ行きが悪いので、2014年まで操業を短縮すると通告している。労組にとっては、無意味な操業停止をする可能性は少ないのではないだろうか。

実害としては、数週間の操業停止による生産減であろうが、同社は世界の供給の12.6%を占めるに過ぎず、仮に2割の減産となっても2.4%程度であり、それはおよそ年間5トンである。昨年の世界のプラチナ生産量201トンで、需要は188トン、13トンの供給過剰であった。供給が5トン減ってもたいした問題とはならないと思われる。つまり、プラチナは高くなったからといって買うべきではなく、おそらく上がった分だけ下がるだろうが、ここは静観するに越したことはないのではないだろうか。

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