QE3催促でも、金相場が本格上昇しない理由

6月のNY金相場は、米追加金融緩和政策を巡る思惑で乱高下したが、結局は1,550~1,650ドルを中心としたボックス圏での取引に留まっている。6月1日発表の5月米雇用統計で非農業部門就業者数(NFP)の伸びが2ヶ月連続で+10万人を下回ったこと、欧州債務問題が改めて深刻化していることなどを背景に、6月上旬は量的緩和第3弾(QE3)への期待感が金相場の急伸を促した。ただ、19~20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、このような米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート(保有資産)の規模に働きかけるような大規模な緩和策は見送られており、その後は失望売りが上値を圧迫している。

ドル建て金価格とCRB商品指数の比価(=金価格÷CRB商品指数)を見ると、年初から5月下旬にかけては、概ね5.0~5.5倍のレンジで推移していた。米金融政策を巡る思惑から多少の変動はあったが、「通貨としての金」の購買力は一定に保たれていたと評価できる。

一方、足元ではこの数値が5.8~6.0倍まで切り上がっており、QE3による通貨価値の希薄化に備えて、金の購買力を増強する動きが強まったことが確認できる。ただ、QE3への展開を前提にしても、6月上旬の金価格急騰には過熱感が強く、その意味でFOMC後に失望売りが膨らんだのは当然と言える。現在、QE3実現可能性に対する市場コンセンサスは50%程度であり、それを前提にすると、現在の金価格は1,540~1,550ドル水準が適正レベルと計算している。

もっとも、FOMC声明文で「必要に応じて追加行動を取る準備がある」と明言されるなど、米金融政策がQE3方向に傾いているのは間違いない。コアインフレの上昇がやや警戒されるも、ディスインフレ環境と雇用改善ペースの遅れを考慮すれば、追加金融緩和圧力は今後一段と強化される可能性が高い。特に、7月雇用統計でもNFPの伸び悩みが確認されれば、改めてQE3の催促相場が開始されよう。

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