金は息の長い上昇相場へ

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、2017年初めて(1月31日、2月1日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。声明文における経済の現状認識に関しては、「経済活動は緩やかなペースで拡大し続けた」とし、基本的な景気認識に変化はなかった。昨年12月時点では、2017年の利上げ回数を3回と想定していたが、追加利上げの時期が示唆されなかったことで、次回の3月会合で利上げの可能性は弱いと見られた。3日に発表された1月の米雇用統計では、非農業部門就業者数は22万7000人と事前予想の17万5000人を大きく上回ったが、賃金の上昇鈍化が懸念されて、早期利上げ見通しがさらに後退した。

 トランプ大統領は1月下旬、イスラム圏7カ国出身者や難民の入国禁止についての大統領令を発表したが、シアトルの連邦地裁は2月3日、執行の暫定的な差し止めを命令した。これに対し司法省は4日、地裁命令の即時無効化を求めて控訴したが、争いは司法の場にとどまらず、米国を代表する多くの大企業がこの大統領令異議を申し立てる書面を提出するなど、国論を二分する展開となった。政権側の控訴を受けたサンフランシスコ連邦高裁は、9日、入国禁止の大統領令を差し止めた地裁命令を支持すると判断した。金利引き上げ見通しの後退と米国社会の混乱と不安を受けて、「安全資産」である金は8日に1246.6ドルまで上昇した。

 しかし、9日にトランプ大統領が選挙戦から公約として掲げていた「大型減税」に言及すると、NYダウは2万ドルの大台を回復した。14日、イエレンFRB議長は議会証言を行い、トランプ大統領が減税や財政出動でどのような行動を取ろうとも、今年の利上げを使命とする姿勢を示唆した。同議長は、インフレ高進の抑制に手間取った場合、米国経済にはマイナス面の方が大きくなり、景気拡大が想定よりも早く終息してしまう懸念があるとした。タカ派的な発言を受けて長期金利が反発し、安全資産である金は押し下げられた。

 しかし、下げ幅は限定的で1210ドル台は維持された。昨年12月のFOMCで利上げが実施された時に、2017年の想定利上げ回数は3回と想定されていたが、途中、その見通しが後退したものの、今回の議長証言で元に戻っただけで、金相場には特段の弱材料にならなかったようだ。
 
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