ハネムーン

 トランプ政権はいよいよ世界で物議を醸しだしてきた。移民の入国禁止の大統領令を出した途端、英国ではトランプ大統領の招待拒否の投票が100万人を超え、イランも敵対している。国内でもグーグルやマイクロソフト、ネットフリックス、アマゾン等が移民の入国禁止措置に反対意見を述べ、国務省職員も反対の署名を集めている。反対したためにFIREされた女性職員もいる。サリー・イエーツ米司法長官代理である。米金融業界からも批判の声が上がり、イスラム過激派ISは米国はISに宣戦布告したと自己の戦いを正当化している。マケイン上院議員は、共和党幹部でありながらトランプ氏と対決するという。

 トランプ政権はいわゆる4月末までの「ハネムーン期間」と呼ばれる最初の100日を無事乗り切ることができるかが焦点となっている。最大の山場は、連邦債務残高の上限(米国債の発行枠)の適用一時停止期間が切れる3月15日である。オバマ前大統領は、2011年、13年、15年とたびたびこの法律に悩まされ、議会との対立で何度も米国債の債務不履行の危機に立たされた。財源不足で有効な経済対策を打ち出せなかったという苦い経験がある。15年以降、今年の3月までは大統領選挙があるために、この問題は棚上げされているが、3月以降は再び有効となる。トランプ大統領は議会で多数を占める共和党選出ということで、議会との折り合いは悪くはないはずである。しかし、米国上院の共和党は52人、民主党は48人でその差は4人でしかない。共和党から民主党の提案に賛成する議員が3人出れば共和党案は否決されるという僅差である。トランプ氏はツイッター等一方的な発言は得意であるが、政治家という人種はもっぱらディベートが仕事である。果たしてトランプ氏が強権や押しの強さではなく、理詰めや誠心誠意の説得力で、議員に自分の案を賛成させることができるかという力量が試される。トランプ氏の主な政策のうち、法人税を35%から15%に引き下げるなどの、減税政策には、総額6兆ドルの資金が必要となる。グラフはブッシュ(Jr.)大統領とオバマ大統領の月次財政赤字の動きを示したものである。(グラフ米国の財政赤字)
 
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 これを見ると、ブッシュ大統領の時代に財政赤字は大きく膨らんでいる。これはアフガン戦争やイラク侵攻を行ったためである。この時でも月間の赤字は最大1.3兆ドルであった。オバマ大統領は共和党の財政均衡論者の議員の強い要求に応えて、月間3千億ドル規模まで財政赤字を減らしている。今後も同様な緊縮財政を共和党が求めるとすれば、6兆ドルに及ぶ減税や、それに続くインフラ投資の資金等は一体どこから出すのであろうか。トランプ大統領は、インフラ投資は民間の資金で賄うと述べているが、一般道路建設に私企業が金を出すとは思えない。1月23日付の日本経済新聞Quickニュースによれば財務省が1兆ドルのプラチナコインを発行し、それを米連邦準備制度理事会の政府口座に預け入れて紙幣を引き出すという、いわゆるヘリコプターマネーの導入もあり得ると書いてある。現在米国株価はトランプ政策に対するユーフォリア(幸福感)に酔い痴れ2万ドルを超える史上最高値を付けているが、政策が絵に描いた餅となりそうなら、株価急落は避けられないだろう。金価格にとっては上げ材料であろう。
 

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