スペイン救済資金拠出で、金価格急反発

11日にシンガポール貴金属市場では、スペインに対してEU諸国が1000億ユーロを拠出することを決定したという報道を受けて急反発しており、金は0.3%高の1598.56ドル、銀は一日の値上がりとしては二か月ぶりの大きな2.2%高となっている。

スペインの銀行が抱える不良債権総額は1500億ユーロとも1800億ユーロとも言われ、住宅価格の下落に伴い増加する性質のものだけに、確定的にいうのは難しいが少なくとも当面銀行が必要としている資金は1000億ユーロの緊急貸付により問題は無くなったと思われる。
今後スペイン政府がこの資金をどうやって返済するかが焦点となり、スペイン国債の利回りが上昇すれば返済資金の調達が難しくなると思われる。しかし、今のところ、スペイン国債の利回りは1000億ユーロの資金調達を受けて利回りは下がっており、
11日のスペイン10年国債利回りは先週末の6.2124%から6.1200%に下落している。この利回りが7%を超えると危機的と言われているが、当面はそれほど高くなることはないだろう。ただ、スペイン国債の債務カットのこともあり、
スペイン国債の買い手はスペインの銀行以外には海外からの資金調達が難しくなると考えられている。

スペインの問題は、主に三つである。一つは、銀行の数が多く、かつ不良債権が住宅価格下落によって積み上がっており、預金の引き出しにより預金量の残高が減少し、資金繰りに詰まっていること、これが今回の融資の発端となっている。
従って今後スペインの銀行の整理統合が進むものと思われる。

二つ目の問題はスペインの銀行救済資金を今後ギリシャ政府が返済せねばならないが、その資金繰りは大丈夫かという点。つまり財政赤字と既存国債の償還資金の関係である。

スペインの今年の国債償還金額860億ユーロのうち、480億ユーロは資金調達が終わっているが、残りの380億ユーロがこれからである。それを利回りが高くなると調達できなくなる恐れがあり、
この資金まで今後EUが貸し付けることになる可能性がある。その後スペインの財政収入が悪化したり、銀行等への更なる資金補てんが必要となれば、今回の1000億ユーロではとても足りない状況があり得る。
欧州第四位の経済大国スペインの資金繰りを他のEU諸国の財政で支援するのは、非常に荷が重い話である。

三番目の問題は、スペイン経済が悪化したままであることだ。1~3月の失業率は24.4%となり過去最悪を記録し、25歳以下の若年層は50%を超える。ユーロ平均の2倍で、失業者への救済コストはスペイン政府に重くのしかかっている。

貿易収支は常時赤字であり、要するに稼ぐ力が無い国の一つである。そうした国が巨額の借金をして返すあてがあるのかというのが三つ目の問題である。

金価格は5月は株価と連動して動いていたが、バーナンキ議長の議会質疑でQE3に対する明確な発言が無かったとして下落した。しかし、スペイン救済策で上昇している。これらは証券投資家のビヘイビアであろう。
それならそれで金価格の予測は異なってくる。つまり、景気が上向くという見方が出れば金価格も上がるという考え方になる。これまでは、金融不安や社会不安があると金価格は上がるというものであったが、考え方を改める必要があるかもしれない。

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