サウジアラビアの悩み

 原油価格は明後日11月30日のOPEC総会を注視している。18日のNY原油価格はイラク石油相がOPECに協力する意向を示したことで減産合意に近づいたとして+1.02ドル高の47.08ドルに上昇した。

 ゴールドマン・サックスは、石油輸出国機構(OPEC)が30日の総会で減産合意に達した場合、原油価格は1バレル=50ドル台前半に上昇するとの見方を示した。ゴールドマンによると、市場は、減産合意の確率を30%織り込んでいる。一方、合意できない場合、来年上期に在庫が増加し、夏にかけて原油価格は平均1バレル=45ドルになる、との見方を示した。

 サウジアラビアにとってはいくつかの問題を抱えている。同国の原油輸出の3分の2はアジア向けであり、中でも今後の需要の伸びを考えれば中国とインドがメインカスタマーとなる。その中国に対して、最近ロシアのシェア増加が顕著になっている。

 Thomson Reutersの資料によれば、中国の今年10カ月のサウジアラビアからの原油輸入量は前年同期比+13.6%増の4,272万トン(日量102万バレル)であった。一方ロシアからは+27%増の4,283万トンで、サウジアラビアを少し上回った。イラクが+14.7%増、イランが+15.7%増、アンゴラが+12.1%増、オマーンが+8.1%増である。

 中国市場におけるサウジアラビアのシェアは前年の15.7%から14.7%に下落する一方で、ロシアのシェアは12.6%から13.7%に増加している。

 一方インド向けには、サウジアラビアは、日量83万400バレルをこの10カ月に輸出した。前年同期比+6.3%である。イラクは78万3,900バレルで前年比+24%増、経済封鎖が解かれたイランは前年比2倍の114.6%増の45万6400バレルとなっている。インドにおけるサウジアラビアのシェアは19.7%から19.4%に減少し、イラクは16.1%から18.3%に増加、イランは5.2%から10.6%となっている。

 サウジアラムコはこの両国に対して新たな戦略を構築しようとしている。それは、サウジアラビアはドバイ原油価格による長期契約を主体に置いてきたが、顧客がスポット市場で安い原油を手に入れていることに対抗するため、サウジアラビアも長期契約とは別にスポット市場に原油を供給しようとしている。しかし、10月初めには減産決議のため、スポット契約をキャンセルしている。中国やインドの顧客は、スポット市場で安い原油を調達している。

 こうしたアジア市場には、ロシアのみならず、最近アラスカ原油やアゼルバイジャン、北海油田からの売り込みもある。

 アジアの買い手はサプライヤーを一国に限ることなく、最も安いところから買うことのできる状態になっていると東燃ゼネラル石油の北原CEOは述べている。米国の原油供給者は、日本までの航海日数はわずか7日で、3週間かかる中近東より地理的な利点があるという。9割の原油を中近東から購入している日本も供給ソースの多様化を図りつつある。

 買い手市場となっているアジア市場では、サウジアラビアはシェアを確保しながら、いかに減産を図るかに意を砕いている。
 

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