金は安全資産としての役割大幅後退へ

 欧州の信用不安の拡大をキッカケにして、NY金は急落を強いられ、期近6月限は5月16日に1526.7ドルの安値を示現している。5月1日の1672.3ドルの高値から実に145.6ドルもの下げ幅を記録している。
 市場ムードが悪化したのは6日のフランス大統領選挙決戦投票とギリシャ総選挙の結果を嫌気して1600ドルの大台を下回ったあたりからで、市場では300日移動平均線を下回ったことから、目先的には1520ドル台までの急落を早くから予想する声も多く、その意味では売りを仕掛け易い状況だったといえる。期近6月限は昨年12月30日に1528.6ドルの安値を示現しており、それを目標とした動きに切り換わってしまった。
 つまり、年初来の安値更新は避けられないとのムードが強まったためだが、この下げを後押ししたのが、インド政府による輸入関税引き上げ撤廃せずとの7日の声明が影響したと考えられる。宝飾品に関しては、3月からの消費税適用をさかのぼって廃止するとしたが、当業者が要求した関税引き上げの撤廃には動じず、インド国内での需要低迷が改めて危惧されていることになったとみられる。加えて、インドの通貨ルピーの急落である。利下げの影響も手伝って下落に拍車がかかり、16日には過去最安値を示現している。ドルベースの金が急落しても、インド国内の販売価格はルピーの急落で相殺され、高止まりしており、買い手控えの構図に変わりはなかったと考えられる。
 ところで、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は17日、2012年第1四半期の金の需給バランスを公表している。世界の金の需要は前年比で5%減の1097.6トンになるとしている。特にインドの織り込みが目立っている。インドの金需要合計は29%減の207.6トンで、宝飾品需要は19%減の152トン、投資用需要は46%減の55.6トンにとどまっている。この傾向は第2四半期に入って一層顕著になっているとみられるが、第1四半期だけでも予想以上の落ち込みだったといえる。

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