注目される中国の債務処理

 9月21日のFOMCは大方の予想通り利上げは見送られた。それでも3人の連銀総裁が利上げを主張し、全会一致とはならなかった。また投票権のない委員も含めて17人中14人が年内の利上げを見込んでいる。このままいけば11月は大統領選挙の直前なので利上げはないとしても、12月には相当の確率であると見ておいた方が良いだろう。

 昨年12月の利上げの場合は、利上げに向けてドル高・金安となっていた。実際に利上げが行われた後は株価が下落し、その分、金高となった。来年にかけても同様な動きがあると想定される。

 金価格はドルの強弱以外には、6月のBREXITで見られたように世界を不安に陥れるような金融危機や財政危機が生じた時に強くなる。いまそうした恐れはあるかと世界を見回してみると、中国の債務危機が挙げられる。

 本日の週刊経済指標に書いたように、ニッセイ基礎研究所によれば、中国の過剰債務が世界経済を揺るがす懸念が高まっているという。中国の債務残高は2,700兆円に上り、非金融企業向けが67.1%を占める。債務残高は2007年のGDP比152.4%から2015年は同254.8%と+102.4ポイントも上昇している。

 新聞紙上で中国企業の活躍を見ると共通して巨額の借り入れによる投資やM&Aが見られる。どこにそんなお金があるのかと思いたくなるが、実はすべて借金である。投資した先が順調に収益を産んでくれれば返済もできるだろうが、身の丈にあまる投資をし過ぎて結局安売り競争に走るという一定パターンが見られる。

 低賃金による世界の工場化の目論見は数年で崩れており、人件費の値上がりと他の新興諸国の追い上げで中国企業は窮地に陥っていると言えよう。新たな成長モデルは、需要面では外需依存から内需主導への構造転換、供給面では製造大国から製造強国への構造転換、また第二次産業から第三次産業への構造転換の三つが図られている。その流れの中で雇用をうまくシフトできるかが政府の腕の見せ所であろう。

 仮にそうした転換に失敗するなら、懸念されるのは経済の混乱ではなく、雇用の減少による社会不安が襲う習近平政権の政権基盤であろう。一党独裁とは、強い指導力があって初めてできることであるが、反対勢力を抑え込むことができずに社会不安が起きれば、深刻な政治不安が生じる。

これが金価格を大きく上昇させる近年最大の要因であろう。
 

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