食糧生産資源としての水についての国連報告

国連食糧農業機関(FAO)は12日、世界の食糧需要の増加に対応するためには、農業用水を2050年までに19%増加させる必要があるとの報告書を発表した。

同報告によると、50年までに世界人口は現在の70億人から93億人まで拡大する見通しであり、食糧生産は当該期間に70%の増加が必要と試算されている。発展途上国でも食肉需要が高まる中、人口増加率以上のペースで、食糧増産が必要との指摘は重要である。

それにもかかわらず、世界農地の25%は集約農業によって大幅に悪化しており、水資源の枯渇、土壌の質低下、浸食被害などに晒されていると報告されている。特に中東と南アフリカの水不足は深刻化しており、中東では水供給の3分の2を地域外に頼る異常事態になっている。このため、既にサウジアラビアなどでは穀物供給の海外依存度が高まっている。

原油を「武器」として活発な資源外交を行っている中東が、食糧調達では極めて厳しい環境に行われていることは皮肉である。最近はアフリカなどで農地獲得の動きを強めているが、こうした動きが新たな水資源問題を呼び起こし始めている。

50年までには世界の40%以上の人口が、高レベルの水不足に晒されるとの警告は重く受け止めるべきだろう。この解決策としてFAOは、製造業同様に農業でも水代金(関税を含む)を支払う必要性を訴えている。しかし、こうした大胆な施策には国際的な政治リーダーシップが必要であり、現実化へのハードルは高い。

地球の食糧増産能力は、土地よりも先に水の制約を受け始めている。従来は余り考慮に入れる必要のなかった水が、食糧増産の大きな壁として浮上していることを確認しておきたい。

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