金価格が近い将来上がると思う三つの理由 

 NY金価格が近い将来上昇するという根拠は少なくとも3つある。

 一つは、金の生産量が減ってきていることである。第3四半期の金の鉱山生産量は828トンで、前年同期の836トンに比べて▲1%減であった。金の新規鉱脈の発見は1995年がピークでそれ以降は減少している。金鉱脈の平均生産期間は20年なので2015年が金の鉱山生産のピークとなるという金ピーク説は今年5月のBank of America Merrill Lynch主催のGlobal Metals Mining & Steel ConferenceにおいてGold Corp.社が唱えた説である。金は天然資源であり、昔から錬金術はあったが、ダイヤモンドは人造で作れたが、金は一度も精製に成功した試しはない。ちなみに、原油はロシアの学者が提唱している無機起源説によれば、マグマが高温高圧下で精製しているという。実験室では炭化水素を高温高圧下に置いて原油を作ることに成功しているし、最近の英文資料には化石燃料という記述が少なくなり、炭化水素燃料と書いてある。それはさておき、地中にある金は残り少ないことは事実であろう。1970年代世界の7割に相当する年間1000トンを生産していた南アは昨年は168トンに減少している。佐渡や奥州など各地で産出していた日本の金山も昨年はようやく7トンを生産するのみとなっている。また昨今の価格低下により、世界の金鉱山は鉱脈が立地な場所を優先的に採掘して生産性を上げている。ということはいずれ、現在の金鉱山は良いところを掘りつくされて将来は貧弱な鉱脈しか残らないことになる。こうした供給の制約が第一の理由であるが、金は地上在庫が16万6千トンあると言われており、価格が上がるとこうした隠し金が市場に出てくる。

 第二の理由は、需要が相変わらず好調であるということである。米国や欧州のコイン需要が旺盛で、第三四半期は欧州が前年同期比+27%、米国が+62%の需要増を見せているが中国やインドの+13%増顔負けの増加であった。世界各国で金価格は値頃になったという感覚が出ているものと思われる。インドは乾燥気候で農産物が不作だったため、金の需要の3分の2を占める地方の収入が少なく、第4四半期の需要は減少する可能性があるが中国は上海黄金交易所からの金引き出し量が12月11日までに2,451トンとなり、年内に2500トンとなるものと思われている。これは昨年の世界の需要4,409トンの57%に相当する。旧正月用の金宝飾品の原料などに引き出されたものと思われ、ほぼ今年の中国の需要量に相当すると思われている。これ以外に政府保有金の増加が著しく、毎年300~500トンの金が外貨準備の代わりとして購入されている。

 第三は、ドルの価値はいつまでも上がり続けるわけではないということ。昨年から22.4%ドル高になり、その分金安になっているが、実際には昨年からの金安は▲11.4%なので、仮にドル価値が一定であったとするなら、金の価値は22.4%-11.4%=11%上昇していた計算となる。ドルが高くなっているので、金は安くなっているが、ドル高全部ではないということである。もしドルが安くなっていれば、金は11%以上上がっていることになる。ドイツ銀行は1970年代からのドルの動きを見て、今後2年間はドル高が続くと見ているが、果たして世界各国との軋轢をまともに受けてドルは更に高くなることができるだろうか。過去の振幅からはドル高と言えるかもしれないが、現在米国の貿易は輸出も輸入も急激なドル高の影響をまともに受けている。政治的、経済的にドル高を維持することは困難だろうと思われる。以上が金価格が上がると思われる三つの理由である。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事