米国で利上げがあるとどうなるか(その1)

先物価格の予想は、将来を予想することである。ところでほぼ確実な未来が見えている。それは12月16日に米国連邦準備制度理事会は金利を0.25%引き上げることである。イエレン議長はじめ多くの理事が口裏合わせて12月の利上げを述べ、先週末の雇用統計で予想の18万5千人の増加をはるかに超える27万1千人の非農業就業者数の増加となった。失業率は5.0%でFRBが完全雇用とする4.9%にほぼ等しい。雇用統計発表前と後では、12月に利上げがあると予想する人は58%から72%に跳ね上がった。

もう、来月の利上げは確定である。人口統計同様、これほど明白は未来の予測を前にすれば、商品価格の予測はそれほど難しくはないはずだ。つまり、利上げが行われると何が起きるかを類推すればよい。

通常米国で『突然』利上げが行われると、借金を多くしている企業の株価は下落する。金利が上昇すれば、債券価格は下がる。金利が上がったドルは急騰し、ドル以外の通貨は下落する。これはすでに起きている。

これもすでに起きていることだが、ドルの金利が上がるとドルで借入している企業は困る。その中には、新興諸国の企業や政府等団体も含まれる。ドル建ての借金はこれまでのドル高・現地通貨安でも手痛い損害に遭っている。1000ドル借りている人は、ドル円が100円なら10万円の返済だが、ドル円が120円に2割円安になれば、12万円返済せねばならない。借入金利が安かったとしても、為替で大損である。これは現実に世界の新興諸国で起きている。

さらに、金利が安かったドルを借り入れて海外に貸していたファンドも、ドルの金利が高くなると、いわゆるレパトリエーション(借入れと貸出しの巻き戻しが起きて資金が還流すること)が起きる。ファンドは新興諸国などに貸していた資金の返済を迫り、貸出しを解消して、借り入れていた資金を返済する動きだ。新興諸国から現在急激に資金が米国に向かって流れているのがこの現象である。こうした事態は、12月に利上げが決定されたため、さらに大きな流れとなって新興諸国からの資金移動が起きている。通貨安と相まって新興諸国では企業も金融機関も政府もデフォルトの危機にさらされている。それは過去の通貨危機と同様に新興諸国の通貨危機となる恐れがある。
(この続きは来週:商品価格にはどんな影響があるか、みなさんも考えてみてください)

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