米利上げは織り込んで、底堅く推移する金

米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げを見送った。声明では、中国の景気減速を受けた世界経済の不安定さが金融政策の正常化を躊躇させているとした。8月の人民元切り下げに端を発し、世界的な株安が連鎖的に起きている状況で、想定以上のボラティリティの高まりは、米国の利上げと相まって世界経済を混乱に陥れるだろうとの見方は首肯せざるを得ないものだった。ただ、イエレンFRB議長は会見で「10月の利上げ開始は可能で、必要なら特別に会見は設定できる」とあくまでも、2009年6月以来となるおよそ9年ぶりの利上げ実施への姿勢を見せた。同議長はまた、9月24日の講演会でも「FOMCの大半のメンバーが年内での利上げを予想している」と発言し、市場に対し中央銀行の矜持を示した。しかし、10月2日に発表した9月の米雇用統計は、予想を覆す悪い内容となり、イエレン議長が言及していた10月の利上げは、早くも消滅したといえるだろう。9月の米雇用統計では、失業率は前月と同じ5.1%だったものの、非農業部門就業者数が14.2万人増と事前予想の20.3万人増を大幅に下回った。しかも、8月分も17.3万人増から13.6万人増へと大幅に下方修正され、2ヶ月連続で10万人台前半の増加に留まった。平均時給は前月比で横ばい、前年比でも2.2%増と停滞していると判断された。夏季という季節要因に由来する低迷というよりは、労働市場がピークを迎えつつあるのではないかとの疑念も強まった。8月の経済状況が平穏であれば、おそらくは9月に利上げが実施されたと思われるが、世界経済の落ち着きを待っている間に、米国経済に早くも綻びが浮かび上がってきたとは皮肉なことだ。

nyg1016

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事