東京金の30年史(4)通貨であることが再確認された2010年代

サブプライム問題後の金融緩和政策が2008~09年にかけての金相場急伸の原動力であったとするならば、その金融緩和が更に新たなステージに突入したことが10年以降の金相場上昇を決定付けたと言えるでしょう。

米金融政策は08年12月に実質的なゼロ金利政策となりましたが、金融経済環境の悪化に歯止めが掛からない中、非伝統的な金融緩和政策が採用されたのです。いわゆる量的緩和政策(QE)です。

08年11月から10年6月にかけてのQE1では、住宅ローン担保証券(MBS)1兆2,500億ドルを柱に、総額1兆7,250億ドルもの資産が米連邦準備制度理事会(FRB)によって購入されています。また、10年11月から11年6月にかけてのQE2では、米国債6,000億ドルが購入されました。

二度にわたるQEによって合計2兆3,250億ドルの資産がFRBの資産に取り込まれた形になりますが、これは同額のドル通貨が市中にばら撒かれたことを意味します。そして、程度の違いはあっても欧州中央銀行(ECB)や日本銀行なども同様の非伝統的な金融緩和政策を採用しています。

この結果、短期間に通貨供給が急増した反動として、通貨価値の希薄化は決定的になりました。中央銀行の一存で供給量が大きく変動する通貨に対する信認が低下し、代わりに年間産出量に制限がある「通貨としての金」が再評価されたのです。

通貨の価値が低下することは、インフレ圧力が強まることも意味し、購買力を確保する観点からもインフレ耐性の強い金が見直されました。特に、景気減速圧力が限定された新興国に対しては、先進国からの資金流入が加速し、二桁のインフレ率も珍しくなりました。

実質ベースでの金利がマイナスに陥る異常事態が実現し、末端の金投資需要が急増しました。特に中国やインドの金需要が急拡大したことと、これらの国のインフレ率が急伸したことは、無関係ではありません。マイナス金利状態における数少ない資産防衛手段として、金の保有が人気を博しました。

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