東京金の30年史(2)鉱山と中銀が破滅戦略を採用した90年代

1970年代の反動から80年代の金相場は明確なダウントレンドを形成しましたが、90年代も大きな流れは変わりませんでした。

90年にはイラクのクウェート侵攻を機に湾岸戦争が発生しましたが、同年の東京金相場高値は、89年の2,060円を僅かに上回る2,124円に留まっています。これによって、「有事の金は終わった」といった議論が盛んになりました。ただこれは、米国の一極集中時代を迎える中、もはや冷戦時代のような世界的な紛争に発展するリスクはないとの評価に変わった結果でしょう。第3次世界大戦に発展するようなリスクが低下する中、地域紛争であれば大きな有事にはならないとの見方が強くなった結果です。

しかも、90年代はITバブルとも言われるように株価が急伸したことで、保有することで金利や配当といった利益をもたらさない金の存在意義が改めて問われた時代でもありました。米経済が輝きを取り戻す中、世界の資金は米国に還流し、「強いドル」政策の裏側展開として、金相場は急落しています。

誰もが米国に投資したがる中、金に投資する理由を見出せない時代になりました。当時のグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「根拠なき熱狂」と警告を発しましたが、「有事の金」を思い返す投資家は殆ど存在しませんでした。

これと連動する形で東京金も明確なダウントレンドを形成し、2,000円台は90年が最後になっています。91年には1,500円割れ、95年には1,000円台までの急落地合になりました。

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