原油価格は半年後には上がると思う。その2

 先週3月17日のこのコラムで原油価格は半年後に上昇すると思うと書いた。

① 米国における石油稼働リグ数が2月末時点で1,424基とピークだった昨年10月の2,214基から▲790基、▲36%減少している。ところが2008年から2009年にかけて原油価格が147ドルから35ドルに下落した時には、2008年8月の2,487基から09年5月の1,001基まで▲1,486基減少し、▲60%少なくなっている。09年5月というのは、価格が09年1月に底を打ってから4ヶ月後である。つまり、今回の下げ局面では石油リグ数が減少するのはまだこれからで、あと半分程度が今後閉鎖されるかもしれない。今年の価格の底を2月とすれば、6月頃が石油リグ数が最低点を迎える頃となる。これまでは効率の悪い古いリグを閉鎖してきたが、これからは採算が取れないリグを閉鎖することになるだろう。ということは、米国の石油生産量はこれから急激に減少し始めるものと予想される。

② 一方、3月第一週の全米平均のレギュラーガソリン価格は、2.487ドル/ガロンであるが、前年同期は3.512ドルであり、約3割下落している。サウジアラビアのヌアイミ石油相は、原油価格が下落したことにより、世界の原油需要は増加すると強気の発言をしているが、実際に価格が安くなればガソリン等の世界の石油需要は今までより多くなるだろう。

③ したがって、供給が減少し、需要が増加すれば、これまでの供給過剰状態は解消される。供給不足までにはならないとしても、石油需給が引きしまって、一方的に増え続けていた原油在庫が急速に減少してくれば、市場は強気に反応するものと思われる。

④ 最後に、先週金曜日発表された3月10日までの週のファンドの建玉を見てみると、NY原油に対するファンドのネット買い残は29万4,609枚となっており、3月10日の週は4週連続で小幅減少(▲637枚)となっている。問題は売り残であり、10日は21万5,584枚と前週より+1,683万枚まだ増加している点である。

この売り残は少なくとも2005年以降で最大の空売り残である。つまり、ファンドは価格が下げ始めてからせっせと売り浴びせているが、一向に買い戻す気配がない。ということは、いずれ買い戻さざるを得ないものと思われる。と書いたが少し補足する。

⑤ 米国の原油在庫は、過去最大となっている。しかし、グラフと価格の動きをよく見ると、米国の原油在庫量が増加し始めたのは、今年の1月以降であった。つまり、昨年9月から原油価格が下落を始めてほぼ最下点に達しようとしたときから原油在庫は増加し始め、急激に過去最大となった。つまり原油在庫の増加は今回の原油価格下落には関係ないことになる。逆に言えば、今後米国のシェ-ルオイルが稼働リグの閉鎖の増加により生産が減少し、ガソリン需要がドライブシーズンを迎えて昨年より3割以上も安くなったガソリンをどんどん消費して石油需要が増加し、石油精製設備稼働率が上がって原油在庫が減少に転じれば、心理的に原油を売るわけにはいかなくなるだろう。その効果は大きいと思われる。IEAは3月15日に発表したOil Market Reportで原油の在庫場所が無くなりつつあると述べている。これは単純には弱気要因だが、在庫場所が無くなれば生産が減少すると言う意味では強気要因にもなる。

⑥ すでに米国ノースダコタ州バッケン地方のシェールオイル企業ホワイティング・ペトロリアムが身売りを余儀なくされている。上記IEAレポートではブラジルのペトロブラス等の大手石油企業も資金繰りに窮し始めているという。こうした石油会社が生産ができなくなれば、米国等非OPEC諸国の原油生産量は、年後半には減少し始めるだろう。

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